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【読書感想】「旅行者の朝食」

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旅行者の朝食
旅行者の朝食 / 米原 万里

「ツバキ姫」との異名をとる著者(水分なしでもパサパサのサンドイッチをあっという間に食べられるという特技のために)が、古今東西、おもにロシアのヘンテコな食べ物について薀蓄を傾けるグルメ・エッセイ集。「生きるために食べるのではなく、食べるためにこそ生きる」をモットーに美味珍味を探索する。

Amazon内容紹介より

やはり食べ物エッセイは気軽に読むことができ、そして読んでいて楽しいですね。時代と土地を一番わかり易く感じさせてくれるものとして、食べ物以上に適切なものはないように思います。食べ物で異国に思いを馳せ、また祖国を夢に見る…祖国を想うなどということは、一度だけの海外旅行しか経験のない自分にはし得ない体験ではありますけれども、食べ物のパワーというものを考えればさもありなん、と思えてしまうのです。

さて本書に登場する食べ物たちは、著者に縁のある国であるロシアの料理がメインですから、日本人一般には今の時代でもそれほど馴染みのない料理が多いと言えるでしょう。美味しい物は大好きですけれども、グルメからは程遠い自分はロシア料理として食べたことがあるのは1,2度くらいだけしか記憶にないので、ほとんど味としての記憶を呼び起こされませんでした。これがロシアを旅したことがある方やグルメでロシア料理も頻繁に食べているような方であれば、少し違った印象を持つのかもしれませんね。

また本書で扱われていた料理の中で美味しそうなものはいくつかありましたけれども、その中でも「ハルヴァ」は間違いなく読んだ方のほとんどが食べてみたい、と思ったに違いない食べ物でしょう。ちなみにハルヴァはWikipediaには以下のように記載されています。

ハルヴァは、穀物、胡麻、野菜、または果物に油脂と砂糖を加えて作られる菓子。東はバングラデシュから西はモロッコまでの広い地域に見られ、冠婚葬祭にまつわる様々な行事で重要な役割を果たすことが多い。ほとんどのレシピにはバターまたはギーが含まれるが、逆に一部では植物油を使う。ピスタチオ、胡桃、アーモンド、松の実などのナッツ類やレーズン、デーツなどのドライフルーツは必須ではない。

ハルヴァ – Wikipediaより

日本人に馴染みのある物で類縁とすれば求肥や落雁がそれに当たるようですが、どちらもなかなか掴みどころのない食べ物ですから、こればかりはハルヴァを食べてみるしかないのでしょうね。著者も至高のハルヴァを探して何年もかかっていたようですけれども、Wikipediaを見てもかなり地方色が強く、味にもかなりのバラつきがあるようです。まあ、日本国内でも「ラーメン」と一口に言っても、かなりの味の差異がありますから、同じ名前の食べ物だとしても国が違えば味も違ってくるのはある程度仕方がないことでしょう。

こうなれば現代の恩恵を十二分に享受することで日本国内にいながら、いくつかのハルヴァを食べてみるしかないなあ、と思っています。さすがはAmazonさん、ということでAmazonにはいくつかのハルヴァが登録されていますね。どのハルヴァが著者の食べたハルヴァに近い味なのかはまったくわかりませんし、もしかしたらそのすべてが遠い味なのかもしれませんけれども、挑戦してみる価値はあるのかな、と思っていたり。

そんな訳で「旅行者の朝食」は食べ物についての文章を読むことで難しいことを考えずに世界のことを想像できるような本でした。気軽に読めるので長時間電車に揺られる際などには最適の読書ではないでしょうか[1]自分もそのほとんどを新幹線の車内で読みました。とりあえず近いうちにハルヴァだけは食べてみようと思います。ハルヴァは食べたことがある方がいらっしゃったらぜひ、オススメのハルヴァを教えていただきたいです。

References

References
1 自分もそのほとんどを新幹線の車内で読みました

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