全ページゆっくりと改修中です。御了承ください。

【漫画感想】「惑わない星」 2巻

スポンサーリンク
【漫画感想】「惑わない星」 2巻
惑わない星 2巻 / 石川 雅之

連載時のカラーを、完全収録! 初版のみ限定で月シール付き!! 理由すらわからず、瀕死のままの「地球」。S沢と及川は戸惑いつつも、「月」と共に「地球」のことを知るため「物理」を学び始める。そうこうしている内に次々とやってくる太陽系惑星の面々…「木星」「土星」「天王星」「海王星」。惑星と人間がお互いに学び、「地球」を救うべく未来を語り合う、前代未聞の惑星擬人化漫画第2巻!!

Amazon内容紹介より

1巻の時点では「難しい漫画」になりそうだと思っていた、色々な意味で先の気になる漫画「惑わない星」です。2巻になって印象が変わるのか変わらないのか、大いに気にしていましたが、自分の印象としては1巻の印象をそのまま引き継いでいました。相変わらず難しい漫画だと思います。読者としては悩ましいままに3巻を迎えそうです。

さて「惑わない星」の2巻です。小惑星帯などを擬人化しないのであれば、太陽系に属する惑星は全員集合しましたね。見事に全員美少女でした。惑星たちを含めた登場人物の中で主人公の「S沢」君はたった1人男性ですけれども、ラブコメ漫画によくあるハーレム感はまったくありません。むしろ思春期男性にありがちな気持ちの悪い妄想を擬人化した惑星たちから、これまた唯一の人間の女性である「及川」さんにバラされてしまったりして、なかなかに悲惨です。素晴らしい。また太陽系の主要天体で登場していないのは太陽のみだと思いますけれども[1]先程も書いた通り、小惑星帯などを含めない場合、太陽は惑星たちとは天体としての立ち位置も違いますし、擬人化はされないのでは、と予想しています。月を始めとした各惑星の衛星たちも擬人化されずに「もやしもん」の菌よろしく擬人化した惑星の周りを小型化してフワフワ浮いていますしね[2] … Continue reading。漫画としても太陽の登場は1つの転換点になると思いますので、3巻での登場を待ちたいです。

そして「惑わない星」が漫画として「難しく」感じる点に関してですけれども、学習系の漫画であったとしても啓蒙系の漫画であったとしても、それはそれで良いと思うのですが、個人的に気になるのはその強烈な説教臭さです。「もやしもん」でもそういう部分は大いにあったと思いますけれども、惑わない星は読んでいる間にずっと説教されている感じがするのですよね。あさりよしとお氏の「アステロイド・マイナーズ」などは、物理法則に対する無知をもっと上手に諭してくれているように感じます。あさりよしとお氏の表現が上手なのは「まんがサイエンス」のような学習漫画の下地がしっかりとしているからかもしれませんが「アステロイド・マイナーズ」では科学的な知識の欠如自体が面白さにしっかりと結び付けられているように思うのですよ。惑わない星に関しては、淡々と無知であることを追求され続ける感じです。これは学ぶ側が積極的に勉強をしなくなるタイプの学習スタイルだと自分は思いますね。漫画を読む、ということにしても、その披露される知識を知っているか知っていないかによらず、登場人物の人間2人と一緒になって説教されているようで楽しくはありませんでした。「もやしもん」ではここまで顕著ではなかったと思うのですがね…。

ところで火星がある出来事を「誤差だよ」と言っていて、それについて月が長々と話をしていましたが、惑星たちの視点から見れば地球に大気があろうがなかろうが、海が汚れていようがいまいが、人類と生物が存在しようがしまいが、人間が困っている地球に関する問題のすべてが誤差の範疇に収まると思うので[3]なぜか寝込んでしまっている地球の立場からしても、結局惑星たちが何をしたいのかよくわかりません。惑星が擬人化すると地球までやってこれる、というのは漫画的にアリだと思いますが、物理法則物理法則いっている漫画で擬人化していない惑星が自ら地球に近付いてくる、というのは表現としてどうなのかなあ、と思ったり。少なくとも木星は少し近付いていたように描かれていたと思いますけれども、惑星からしたら、その動きの方がよほど「誤差」では済まされない話になると思うのですけれどもね。

ちなみに惑わない星での人間たちの科学的知識の欠如や物理法則の無理解がどのレベルであるのかは主人公「S沢」君のこのコマで表現できていると思います。
f:id:fuhinemu:20170404045430p:plain

科学的知識は相当低い水準になってしまったのにもかかわらず、月の見え方の逸話については日本のうさぎ以外にもヨーロッパのカニや女性を知っている辺りに不思議な偏りが感じられます。惑わない星における「日本」は外界との接触がない状態になっていたはずですが、逸話に関しては海外の情報が残っているか新たに入ってくるかしているようですね。現実世界とは違って、肉眼で月を観たことがないはずの「S沢」君にしては情報としては豊富のような気がしますけれども、国語教員を目指していた、とされる「S沢」君なので過去の文学作品などから得た情報なのでしょうか。そういうことが可能なのであれば、科学的知識の欠如にしても、そこまで致命的なことにならないような気がしますが…。

そんな訳で何度も繰り返しになりますが、「惑わない星」2巻は相変わらず何とも言えない「難しい」漫画でした。3巻までは買うと決めているので、とりあえずは次巻を待つことにしたいです。太陽の登場とともに、驚きの展開が始まることを期待します。

References

References
1 先程も書いた通り、小惑星帯などを含めない場合
2 唯一、月だけが一時的に擬人化しましたが、擬人化すると言葉を発せないなどの制限がかかるようです。星によって格みたいなものがあるのでしょうかね…
3 なぜか寝込んでしまっている地球の立場からしても

コメント