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【漫画感想】「ダンピアのおいしい冒険」4巻

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ダンピアのおいしい冒険 4巻 / トマトスープ
ダンピアのおいしい冒険 4巻 / トマトスープ

17世紀。英国公認の海賊船に、博識かつ好奇心旺盛な探検家・ダンピアも乗船した──。未知の世界を食べて調べる、実在の人物と史実をもとにした海洋冒険飯漫画。好評第4巻!ダンピアと共に「未知の南方大陸」を目指すことを誓ったリングローズに、まさかの事態が…!

Amazon内容紹介より

『ダンピアのおいしい冒険』4巻の初版は2022年5月。17世紀に実在した『ウィリアム・ダンピア』という人物の史実にもとづくお話です。学習漫画のような知識を得られる漫画でありつつ、4巻になるとドラマチックなシーンも増えてきました。3巻に比べると冒険漫画らしいワクワク感は少なめですが、その分ドキドキが増していると思います。そして泣けます。うぅぅ、『リングロース』さん…。

さて『ダンピアのおいしい冒険』4巻です。4巻はもう『リングロース』さんとのお別れにつきると思います。悲しすぎます。3巻の感想文でも書きましたが『リングロース』さんは『ダンピア』とずっとキャッキャウフフしていて欲しかったです…。史実に基づくお話の漫画ですので『リングロース』さんの運命自体を変えられないのは仕方がありませんけれども『ダンピア』と『リングロース』さんの知的で比較的優しい交流は長く読んでいたかったと思わされました。現代でも各人にちょうど良い知的な交流が難しいと言われることが多いですので、17世紀という時代、しかも海賊船の中ではお互いの存在は他にないものであったことは想像に難くありません。ただ基本的には現代とは違った生命観・死生観であったでしょうし、海賊船に乗っている以上さまざまな生命の危険は承知の上でしたでしょうから、もしかしたら多少の落ち込みはもちろんあったものの、この漫画よりも実際には割り切りが早かった可能性もあるのかな、とか思ったりしました。もちろんそれとは関係なく、漫画を読んでいただけの自分はただただ悲しかったのですけれども。

ちなみに4巻は『デーヴィス』船長や今まで一緒に航海をしてきた仲間との別れ、そして『スワン』船長と共に航海を始めるところから始まりますが、3巻の感想文でも触れた通り『デーヴィス』船長、最後になって結構好きなキャラクターになってしまいました。『ダンピアのおいしい冒険』という漫画全体でも時々出現する現代的な感覚である『退職の意思表示は1ヵ月前が常識だろ』と『ダンピア』が『デーヴィス』船長の心中を想像するシーンには笑ってしまいました。実際のところ当時の離職に関しての慣習はどういった感じだったのでしょうか。この漫画の中で登場する『ダンピア』の離職パターンは、ほぼバックレだと思うのですが、当時としても非常識的な行動だったのか気になるところです。恐らくですが、それが一般的な方法だったのではないかなあ、と想像しますが…。ちなみに色々迷った末に選んだ『スワン』船長との航海の末に『リングロース』さんとの別れや『スワン』船長やその仲間36名との別れがあった訳ですが、『デーヴィス』船長との航海を『リングロース』さんと共に選んでいたら、どうだったのかなあ、とかついつい考えてしまいますね。また『ダンピア』と別れた『スワン』船長ら36名がその後『ミンダナオ島』でどうしたのか、かなり気になりました。そのまま生活を続けたのか、それともまたどこか別のところに移動して海賊稼業に戻っていったのか…そちらのサイドストーリーも知りたいなあ、とか思ってしまいましたね。

ところで1巻から触れていますが『ダンピアのおいしい冒険』4巻にも様々な食べ物が登場します。4巻ではジューフィッシュ、グアバ、パンノキ、サゴ、マンゴー、野生の豚などが登場して食べられます。また食べ物ではありませんが、口に含む嗜好品としてビンロウジも登場します。ジューフィッシュに関しては、漫画の中でも『ダンピア』を含む登場人物がその名前の由来について話をしていましたが、こちらのサイトによると『ユダヤ教の食物規定に合格しているためにこの名前が付けられた』とのことでした。3巻までに比べると現代の日本でも食べられるもの、少なくとも名前は聞いたことがあるものが大半です。とは言え『グアム島』に到着するまでの航海は1巻から今までにない程に食料の危機に瀕した状況でしたので、それを乗り越えたあとのパンノキなどを食べた時の『ダンピア』や他の乗組員たちの感動と安堵は漫画を読んでるだけでも勝手に感じられてしまいました。この安堵の後、間髪入れずにまた次に別の種類の危機が襲ってくるところが読んでいて飽きさせないなあ、と思わさせますね。

そんな訳で『ダンピアのおいしい冒険』4巻は1巻から変わらず知識の窓口としてとても優秀な学習漫画のような側面がありつつも、特に4巻からはドラマチックで感動的な場面もあり、心揺さぶられます。学習もでき、冒険漫画的な側面と感動的な側面がある漫画…ここまでは完璧なのでは。とてもオススメです。

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