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【漫画感想】「瑠璃の宝石」3巻

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瑠璃の宝石 3巻 / 渋谷圭一郎
瑠璃の宝石 3巻 / 渋谷圭一郎

鉱物を知れば、いつもの景色が違った世界に見えてくる!鉱物採集に夢中の女子高生・ルリ。結晶のきらめきに導かれ行く先は――川やダムや廃鉱山まで!興味を持って観察すれば、石の輝きの向こうに大きなドラマが見えてくる!調べて考えて、探して歩いて、やっと見つける。知の喜びを描く本格サイエンスアドベンチャー、第3巻。研究者志望のクラスメイト・瀬戸さんも加わって、ルリの周りはいっそう賑やかに!☆第3巻で探しに行くのは……?☆・サファイア・菱マンガン鉱・蛍石・ジンカイト・銀化ガラス・オパール―――など彩りさまざま!

Amazon内容紹介より

『瑠璃の宝石』3巻の初版は2022年10月。鉱物採集をテーマとしている漫画の3巻です。3巻では新たに主人公である女子高生『谷川瑠璃』さん、お師匠さん的ポジションの大学院生『荒砥凪』さん、『瑠璃』さんと『凪』さんの中間的ポジションの学部4年生『伊万里曜子』さんに続いて、『瑠璃』さんのクラスメイトで鉱物の研究者を目指している『瀬戸』さんが登場しました。4人目の登場です。

さて『瑠璃の宝石』3巻です。2巻でも登場人物は増えるだろう、という感想を書いていましたけれども、想像していたよりも硬派なキャラクターの登場で驚きました。『瑠璃』さんたちの鉱物採集に加わる前までにも一人で付近の鉱物採集に勤しんでいたようですし、『伊万里』さんにぶつける質問も「勉強しているね」と言われるような内容です。『瑠璃』さんはどちらかと言うとライトな興味から鉱物採集にのめり込んでいく人物で、『瀬戸』さんはそもそも鉱物に情熱を注ぎ込みたい人物。この辺りのバランスも面白いですよね。面白いといえば『瀬戸』さんの『凪』さんと『伊万里』さんに対する評価が『瑠璃』さんのものとかなり違っている点も「あるある」かもしれませんが、面白かったです。『凪』さんと『伊万里』さんにもそれぞれの得意分野があり、『瑠璃』さんと『瀬戸』さんにもそれぞれの興味がある分野がある、ということだと思いますが[1]もちろん、もっと単純に第一印象の差とも言えるかと思いますが…、こういった一様でない人間模様もこのように丁寧に描写してくれると、よりお話に入り込んで楽しめますよね。またP30からの『瀬戸』さんが『伊万里』さんに対して「鉱物の研究者になりたい」と打ち明けるシーンには胸が熱くなりました。高校生の頃に誰かに「鉱物の研究者になりたい」と言えるというのは、なかなか簡単なことではないと思います。そして、その『瀬戸』さんに対する『伊万里』さんのかなり純度の高い回答。現実的な問題などを助言するのではなく、一番大切な気持ちを後押ししてくれる内容で、かなり感動しました。

ところで3巻冒頭で『瑠璃』さんが1巻冒頭に登場する女子高生のお友達と思われる人と一緒に海水浴をして遊んでいるのを見て安心しました。『瑠璃』さんは『凪』さんや『伊万里』さんと一緒に鉱物採集に勤しみつつも、しっかりと高校生活を楽しんでいるんだなあ、と思えたからです。1巻の感想でも書きましたが、鉱物採集の方向に突き抜けるのはもちろん素晴らしいことですけれども、何となく高校生活も大切にして欲しいなあ、と思っていたのです。いやあ、本当に良かった良かった。また『瑠璃』さんと『瀬戸』さんが一緒に鉱物採集をするようになってからも、お互いに「さん呼び」しているのも好印象でした。こういった女の子と呼ばれる年齢の女性だけが登場する漫画などでは、わりとすぐに最大限仲良くなってしまうことが多く、ずっとキャッキャウフフしていることが多い気がするので[2]もちろん、それはそれで見ていて嬉しくなるものではあるのですが…、この辺りの距離感の描写はかなり好みです。鉱物採集に際しても、毎回4人で行動するだけではなく、高校生同士2人で夏休みの課題のレポートしてみたり、『凪』さん以外の3人で鉱物採集に行ってみたり…。『凪』さんを除く3人の人間的な成長も鉱物採集を通して見せてくれているようで、単なる鉱物ウンチク漫画にはなっていません。

ちなみにメインテーマである鉱物採集も当然のことながら順調に進んでいます。身近なところから、かなり本格的なものまで様々ですが、これだけ色々な鉱物を採集できたら、それは楽しいだろうなあ、と思います。正直、自分はそれほど鉱物のことを知りませんが、登場人物からもしっかりと、そして自然な説明があり、更には各話の間には『凪の小憩』という鉱物に関するコラムがはさまれているので、何が何だかわからない、ということにはなりませんし、かなり知的好奇心をくすぐられる内容になっていると思います。また鉱物採集の物語を通して科学的な研究の仕方をレクチャーしてくれる漫画でもあると思います。2巻にも「効率化と手抜きは違う」と語られていたお話がありましたが、3巻でも研究の行きつ戻りつする姿をストレスなく見せてくれていたと感じました。

そんな訳で『瑠璃の宝石』3巻は新しい登場人物『瀬戸』さんも採集仲間になり、登場人物たちの人間模様や鉱物採集自体もより様々な角度から描写されるようになってきていて、かなり楽しめました。4巻はトパーズ採集遠征とのこと。初の長距離遠征のようですよ。今から4巻が楽しみです。『瑠璃の宝石』、とてもオススメです。

References

References
1 もちろん、もっと単純に第一印象の差とも言えるかと思いますが…
2 もちろん、それはそれで見ていて嬉しくなるものではあるのですが…

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