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【漫画感想】「任侠転生-異世界のヤクザ姫-」 9巻

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任侠転生-異世界のヤクザ姫- 9巻 / 宮下裕樹(著), 夏原武(原案)
任侠転生-異世界のヤクザ姫- 9巻 / 宮下裕樹(著), 夏原武(原案)

このヒロイン、凶暴につき!リューの前に現れた謎の集団…その正体は、3000年前に魔王側についた魔の眷族の末裔「魔ざり者」たちだった。先祖の罪により、人からも魔物からも忌み嫌われる姿にリューは――!?さらに祖国ルンドブルグにおいて兄ヴォルフが動き出して…!?

Amazon内容紹介より

『任侠転生-異世界のヤクザ姫-』9巻の初版は2022年8月。タイトルの通り、任侠の世界に生きていた男性が異世界の美少女のお姫様に転生するという、いわゆる転生モノ。9巻表紙の『リュー姫』は凛々しさや可憐さとは程遠い、尊大な態度をした雰囲気となっています。これはこれでカッコいいですけれども、8巻までとは少し違った印象ですね。ちなみに『リュー姫』の周囲に見える武器たちを本編で『リュー姫』が使用することはありません。9割9分、拳で解決。本当に最終的には「剣王」になることができるのでしょうか…。もしかして「拳王」に、とか。

さて『任侠転生-異世界のヤクザ姫-』9巻です。8巻で『アルテミート』におけるエピソードが解決したところに8巻ラストにて登場した人々の正体が9巻でわかりました。『リュー姫』の従者的なポジションの『ニュイ』さんはいわゆるダークエルフと呼ばれる種族なのですけれども、そのダークエルフと同様に魔物と各種族とのミックスの人たち、お話の中では「魔ざり者」と称される人々がその正体でした。「魔ざり者」の人たちは、表向きにはその生来持っている特殊能力を使って興行を行っている、という集団です。お話としては基本的に『アルテミート』のエピソードと次のエピソードを繋げる箸休め的な内容でした。もちろん、そういった内容ですのでテンションはそれほど高くありませんけれども、『リュー姫』として『龍松』さんが転生してきたこの異世界の世界観を言外に説明してくれたり、『ニュイ』さんのキャラクターとしての魅力を更に上げてくれたり、賢王『ハンナ・ランクス』さんが今後『リュー姫』とどうやって関わっていくのかというスタンスを示してくれたりしているので、とても良い小休止だったかと思います。ちなみにその中で登場した『リュー姫』のもう一人の従者である『ジョバンニ』さんの甥『ダン・サルトマン』さんが次の目的地である『ルンドブルグ』へ向かうパーティーに加わりました。強烈な強さは持ち合わせていないようですが、手練が多い剣王騎士団に属していることからも、ある程度の魔物とも戦える戦闘力がありそう。『ジョバンニ』さんよりも戦いにおいては頼りになりそうです。ただ、お笑い要素は皆無…残念。個人的には『ジョバンニ』さんの圧勝です。

ちなみに『リュー姫』が元々いた祖国である『ルンドブルグ』は、『リュー姫』の父親である『ルドルフ・ベア・ルンドブルグ』様の健康状態が非常に悪くなっていたり、また兄王である『ヴォルフ』様はご乱心の様子だったり。このお話全体が魔王様の存在自体はもちろん無視できないものの、基本的にはお家騒動感があります。『龍松』さんも元の世界ではお家騒動的な内容で痛い目をみたとも言えるので、その決着を異世界でつける、というような構造にもなっているのかもしれませんね。ちなみに8巻の感想では『ヴォルフ』様が倒したのがもしかしたら魔王様なのかもと書きましたが、さすがに違ったようでした。どの程度の強さかはわかりませんけれども、単に高レベルの魔物だったようです。まあ、そりゃそうか。そして、9巻ラストには『リュー姫』を罠にかけようとする『ヴォルフ』様の姿が…。よく身内の恨みは根深いと言いますけれども、この『ヴォルフ』様もなかなかこじらせているようです。『リュー姫』の中身である『龍松』さんがそのこじらせたお気持ちを解きほぐすことができるのか、はたまた鉄拳制裁して終わるのか…気になるところです。

ところで8巻では「女房バシタ」という任侠用語が登場しましたが、9巻では特に新しい任侠用語的な言葉は登場しませんでした。「行儀をつける」などは厳密にいえば任侠用語と言えなくはないかもしれませんけれども、「行儀」自体は決して難しい単語でもないので、だいたい意味はとれますから任侠用語には含まない判定としました。「行儀をつける」を任侠用語としてしまったら『ニュイ』さんが「姐さん」と呼ばれることも任侠的な言葉の範疇となってくるでしょうからね。まあ、なのでその辺りは除外です。お話全体としてもエピソードとエピソードの繋ぎの巻だったと思いますから、任侠用語の登場も10巻を期待です。2桁の大台にのりますから任侠用語も盛りだくさんでお願いしたいところです。

そんな訳で『任侠転生-異世界のヤクザ姫-』9巻は10巻での『ヴォルフ』様との対決を前にした土台作りのようなお話となりました。土台作りにしては「蛇龍ヨルムンガンド」にみんなで丸呑みされたり、消化液で溶かされそうになったりとアクシデントはありまくりましたが、無事に兄妹対決となりそうです。『リュー姫』の中の人である『龍松』さんはかなりお怒りのようなので、10巻開幕早々に鉄拳制裁がありそう…『ヴォルフ』様も相当に強そうなので簡単なことにはならなそうですけれども。

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