空を旅する捕龍船『クィン・ザザ号』。クオーン市を離れ、次の港に向かって旅を続ける彼らの前に、小型龍の群れが。食料も尽きそうな船にとっては実りの群れ! 勢い勇んで狩りをしていたその時、誤ってタキタが上空から落ちてしまう。九死に一生を得たタキタが目を覚ますと、そこには龍の赤ちゃんと、猟師・アスケラが……。龍の生態にせまる第3巻!
Amazon内容紹介より
2巻までの予想通りに数話ずつメインキャラクターたちをピックアップしてくれているような展開の「空挺ドラゴンズ」も3巻です。1巻の「ミカさん」、2巻の「ジロー君」ときて3巻では「タキタさん」が表紙でもお話でも活躍(?)していますね。ミカさんになぜ気に入られているのか、少し謎な部分もありますけれども、自分もなぜか結構好きです。今のところかなり単純なキャラクターのような気がしますけれども。「あと3年もすりゃあ光ったかもしれない」には強く同意です。
さて「空挺ドラゴンズ」3巻です。表紙を見た時に「らん らんらら らんらんらん」と口ずさんでしまったのは自分だけではないはず…。さすがに表紙に描かれた生き物[1]龍の赤ちゃんです。空挺ドラゴンズの龍は日本で見かける一般的な龍と少し形態が変わっていて、結構好きです。に噛まれて「いたく、ない…」とかは言わされていませんでしたけれども、まあ連想せざるを得ませんよね。3巻の表紙を飾っているタキタさんは某ナウシカさんと比べると影がないので、幼く見えますけれども16歳よりは年上の設定のはずです。実際のところはわかりませんが。ちなみにタキタさんが落ちた場所は色味がまったく違って暗かったですけれども、ポルコ豚さんが隠れ家にしていた場所のモデルとなったと言われているザキントス島に少し印象が近いかな、とか思いました。やはりどうしてもジブリ作品に重ねて見てしまう自分がいます。
それにしても龍の回りにあって龍と一緒に浮遊している液体状のものは何なのでしょうね。帯でその存在を見た時は液体状とは思いませんでしたので、「まさかラ○ュタまで!?」と動揺してしまいましたよ。お話の中では「龍の粘液の膜みたいなもの」という説明はありましたけれども、ちょっとよくわかりませんでした。龍自体が浮いているのは龍の中にある臓器によっているということは繰り返し登場しているのでわかりましたけれども、龍自体とは独立しているはずの粘液が龍の群れを包んでいて一緒に浮いている…うーん、謎です。タキタさんが飛び込んだ時も、ほぼ水のように扱われていましたし、粘性は高くなさそうなんですよね。そのうち、こういった龍の生態の謎も解き明かしていってくれるのでしょうか。気になります。
ところで3巻ではタキタさんが龍の赤ちゃんと行動を共にする時間が長いのですが、見ていると龍の赤ちゃんの知能はかなり高そうですよね。どうみてもタキタさんとコミュニケーションがとれていますし、感情表現も見せてくれています。もちろん、この空挺ドラゴンズに限らず、大抵の創作作品において龍は知性溢れる生物として描かれています。ですから、空挺ドラゴンズにおいて同様であってもそれ程不思議なことではないのですが、空挺ドラゴンズに今まで登場してきた龍たちには、知性を感じることがなかったのですよね。なにせ狩られて食べられてしまいますから。もちろん、狩られることも食べられることも知性には直接関係はないのですけれども、赤ちゃんの頃からこの知性があったら今まで登場した狩られ方はしなかったのでは、とか思ってしまったり。まあ、幼い頃の知性がピークである可能性もありますけれどもね。
ちなみに3巻くらいの「食」の扱い方が個人的には好みです。以前も書いた気がしますが、あまり「グルメ」に寄せては欲しくないですね。特に3巻はタキタさんが「生きるために食う」という姿勢を鮮明に表現してくれているのが良かったように思います。空挺ドラゴンズの場合は食べることが「狩り」とセットになっていますから、余計に「グルメ」との相性が悪く感じてしまうのでしょう。もちろん、基本的には対象を狩っていようがいまいが、食べること自体に意味の差は本来ないと思うのですけれども…[2]その点では、やはり「ダンジョン飯」の食の扱い方は本当に上手だなあ、と思ってしまいます。。
そんな訳で「空挺ドラゴンズ」3巻は相変わらずのアッサリ風味なファンタジー漫画でした。個人的には薄味で淡々としているのは好きなので、あとはどうやってお話の強弱というか濃淡を表現していってくれるのか、というところを4巻以降楽しみに待とうと思います。3巻の終わり方からして、4巻はなかなかに波乱の幕開けでしょうから、余計に楽しみですね。
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