本格ヤクザファンタジー!!解き放たれてしまった魔王の六身の一つ、アギト。竜王の力も通じず、ロキの心も闇に呑まれてします。絶体絶命の中、リューが打った一手は…!?
Amazon内容紹介より
『任侠転生-異世界のヤクザ姫-』の最新巻の感想は以下になります
『任侠転生-異世界のヤクザ姫-』6巻の初版は2021年8月。タイトルの通り、任侠の世界に生きていた男性が異世界の美少女のお姫様に転生するという、いわゆる転生モノ。よくよく考えると、この『任侠転生』の表紙には今のところ3巻の他は『リュー姫』以外の登場人物が登場していませんね。その3巻にしてもダークエルフの『ニュイ』さんが従者よろしく『リュー姫』に着物をかけている姿なので、実質全部が『リュー姫』です。まあ、お話的にもほぼほぼ『リュー姫』についてなので、それで正しいのでしょうけれども。
さて『任侠転生-異世界のヤクザ姫-』6巻です。6巻では5巻の後半で登場した魔王様の分身の一つ顎様との戦闘がメインになりました。顎様、と書いている通り、元々のビジュアルはアゴです。正確には口から下、と言った方が良いでしょうか。どちらにせよカッコいいものではありません。何せアゴですからね。ただ、さすがに魔王様の分身と言われるだけあって強かったような気がします。ちなみに顎様は魔王様の「六身が一つ」ということでしたので、その強さは最大でも魔王様の1/6程度なのかもしれません。残りの5か所も気になるところです。1か所目がアゴだと、2か所目以降が想像つきませんね。腹とかはありそうですけど。今後の魔王様の分身たちの動向も楽しみです。また5巻の感想にも書いた、魔王様との戦いに共闘してくれそうな伝説的な人物たちである精霊王、賢王、海王、鋼王、竜王と『リュー姫』自身である剣王で6人ですし、この手の魔王の分身は最終決戦の前に復活することが多いので、1人ずつ魔王様の1分身と対決するパターンでしょうか。そうすると、この6巻で竜王を引き継いだ『アグニス・ロキ・ラオロン』さんはそのうち1人で、今回の顎様級の相手をしなければいけない可能性がありますね。現状だと太刀打ちできなそう…。『アグニス・ロキ・ラオロン』さんの早急なレベルアップが望まれます。
ちなみにこの対顎様戦は竜王とその子どもである『アグニス・ロキ・ラオロン』さんとのわだかまりの解消と、別れのシーンでもありました。5巻の感想にも書きましたが、わりとベタな内容ではありますけれども、子ども[1]『アグニス・ロキ・ラオロン』さんを想う親[2]竜王の気持ちにグッときたのは間違いありません。もちろん、そういった親子の愛情みたいなものは割と普遍的なものでしょうから、ベタな内容になってしまうのも仕方がないことでしょう。また、顎様戦では『リュー姫』の導樹と呼ばれる元々は転生前の『龍松』さんの入れ墨の女神様を見た顎様から「そこに、いたか…女神。舞台から、降りろ。古き神よ。」と言われていました。詳細はまだわかりませんでしたが、魔王様から見て古い神様と言われるくらいなのですから余程のことですよね。何せ、魔王様は異世界で3000年前に剣王や竜王などと戦っている、という歴史があるのですから。更に振り返ってみれば、『リュー姫』は5巻で『原始の生物』と呼ばれている竜王に「すでに私以上の神性に出会っていたというわけか。」と言われてもいました。恐らくはその「神性」が女神なのでしょうけれども、だとしたら『リュー姫』が強いことも納得ですし、魔王様が勝つ見込みないのでは…?とか思ってしまいます。もちろん、元々お話的には魔王様が勝つ見込みなんて存在しないのですけれども。
ところで3,4,5巻と本編では登場しなかった任侠用途的な言葉ですけれども、6巻になってようやく登場しました。「追い込みとキリトリは遠慮すんなって言うだろ」という『リュー姫』のセリフの中にある「追い込み」と「キリトリ」です。果たして任侠用語なのか、という感じはしなくはないですけれども、裏稼業の言葉であることは間違いなさそう。「追い込み」は何となくボンヤリとした理解がありますけれども、「キリトリ」と言われてもあまりピンときません。6巻時点で『リュー姫』の中身となっている『龍松』さんが元にいた現代日本に住んでいる自分でも、イマイチ理解ができない言葉なので、当然のことながら隣でその言葉を聞いていた『アグニス・ロキ・ラオロン』さんもサッパリ理解できていなかったようでした。そんな「追い込み」と「キリトリ」の意味は以下の通り。
闇金業者が、闇金を利用してお金を借りた債務者に対して悪質な取り立てを行い、債務者を精神的・肉体的に疲労困憊させて違法な利息分を含めて返済するよう仕立てること。追い立て、追い込みともに同じ意味。
追い込み, 追い立て – 闇(ヤミ)金用語集|あいうえお順に約80語を紹介 – 債務整理ナビ
貸付金等の借金を取り立てること。
キリトリ – 闇(ヤミ)金用語集|あいうえお順に約80語を紹介 – 債務整理ナビ
また5巻の感想で書いていた「血絡」という言葉についてですが、6巻においても登場していました。そちらにおいてもほぼ「血脈」と同義の使われ方をしていたように思います。検索してみると「血絡」は漢方用語で使うことがあるようですね。確かに任侠と漢方、ほんの少しだけですが、似たところがあるような気がします。ちなみに漢方での「血絡」の意味は以下の通りです。
絡脈(広義)の一種で血脈ともいい浮絡のうち赤く見えるもの、または経脈をさす
漢方用語辞典 – 蒲谷漢方研究所
そんな訳で『任侠転生-異世界のヤクザ姫-』6巻は魔王様と『リュー姫』の力の源泉である導樹について少しわかったようなわからなかったような感じのお話でした。兄弟の契りをしていたり、最近鳴りを潜めていた任侠らしさがわかりやすく表れていたのも良かったです。7巻では『リュー姫』の従者的なポジションにいる『ニュイ』さんのことや、新しく登場してくるらしい賢王のこと、また突然『リュー姫』から消えてしまった導樹と、それにともなって意識下に現れた本来[3]転生してきた『龍松』さんではないの『リュー姫』のことなど、気になる部分が増えてきましたよ。楽しみです。
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