ハクメイとミコチのまわりには、たくさんの動物や虫が暮らしています。人間であるあなたがよく知っているネコやサル、キツネにタヌキ。それからクワガタやオオカミ! “彼ら”がこびとの世界で何の仕事をして、どんな事に悩んでいるのか――その様子を覗いてみませんか?身長9センチメートルのこびとの生活を描くシリーズ、第5巻は魅力的な動物が続々登場! 豊かに描かれる毛並みや表情にも注目です。
Amazon 内容紹介より
自分の好きな「メイドインアビス」と「アリスと蔵六」のアニメ化の流れでアニメ化して欲しいなあ、と思っている漫画「ハクメイとミコチ」の5巻です。この絵本的な世界観は丁寧にアニメ化したら最高に映えるだろうなあ、と思う反面、なかなか情報量の多い画がたくさんあるので、難しいかもしれないなあ、とかも思ったり。とりあえず1冊丸々フルカラー化してくれたら1万円でも買うだろうな、とか思います。それくらいにハクメイとミコチの世界に入り込んでいたいです。
さてハクメイとミコチの世界は、現実の人の世界と同じく貨幣経済で回っていますけれども[1]通貨は「円」、圧倒的にハクメイとミコチのこびと世界の人々[2]動物たちも含むの方が、生き方が上手な気がします。しかも人と違って、人種の違いだけでなく大きさの違う異種族間でも同じ経済圏で回っているのだから、きっと相当に優秀なシステムなのだろうなあ、とか考えてしまいますね。婚姻制度があること自体は既に描かれていましたけれども、異種族間婚姻もしている人[3]?たちがいることを考えると社会自体が大人なのかもしれません。ただ4巻に引き続いて、5巻の釣り回で感じるのは魚類は別世界なのだな、というところの不思議はありますけれども。水中の世界とは相容れないのかもしれませんね。
そんな感じでかなり細かい生活感についても感じ取れるような描かれ方なので、これがこびとの生活ではなく、現実世界の人間の話であったら少し胃もたれをしてしまうのかもしれないなあ、とか思ったり。例えば完全に甲虫のコハルが都会的な生活に憧れる回は、20代前半の女性とかにありそうな感じですけれども、これが甲虫のコハルではなくて人間の女性であったら「面倒くさいな…」という感想になってしまうかもしれませんので。ちなみにコハル死亡疑惑コマ辺りは可哀想ですけれど、かなり笑いました。
また基本的には平和な世界が広がっているように感じるハクメイとミコチの世界なのですが、5巻では登場しなかったものの、しっかりとガラの悪い連中も存在したり、国境という概念があったり、開拓の歴史で先住動物との間に争いがあったことが想像できる祭事が存在したり、と決して生ぬるい環境で生きている訳でもないことがわかる描かれ方をされているところも好みです。
ところで4巻に引き続き、実は読書家なハクメイのエピソードがありましたね。ハクメイのような「実は色々と読んでいる」というタイプの読書家には憧れてしまいます。色々と読んでいると、どうしても読んでいる本の話をしてみたくなったり、オススメしたくなってみたり…。それ自体が特に悪いことではないのですけれども、どうしても押し付けがましくなってしまいがちなところが出てしまうので、実生活の中では最近読んだ本のことを話さないようにしていたりします[4]その代わりとしてこのブログが存在したりする訳です…。それにしても登場した司書さんは、なかなかにプライドを傷付けられたかもしれませんね。それを考えると後半は司書さん自身が招いたことだったとは思いますが、ハクメイも含めて自分が苦手な若干の押し付けがましさを感じる流れではありました。もちろん、それも含めて読書家あるある的な話なので、まったく嫌な感じはしませんでしたけれども。
そんな訳で「ハクメイとミコチ」5巻は相変わらず、こびとの世界・生活が丁寧に描かれている素敵な絵本的漫画でした。始めにも書きましたが、大判でフルカラー化して欲しいなあ、とか思ってしまいますね。作る側の方からしたら恐らくは超大変な仕事になりそうな感じですけれども…。とりあえず長く続いて欲しいお話ですね。6巻も今から楽しみです。
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