ハーフエルフの新米配達人・吉田は、面倒な仕事に今日も悪戦苦闘中。頑固な魔術師や勇者パーティーに群がる有象無象ども、悪徳森番らを相手に、無事に役目を果たすことはできるのか……? 勇者でも賢者でもない、名もなき仕事人たちの奮闘を描くファンタジー物語、ここに開幕!
Amazon内容紹介より
1話を読んでコミックスを買うことに決めていた漫画「竜と勇者と配達人」の1巻をやっと買えました[1]リンク先では1話どころか数話分を読むことができます。発売日に余裕を見せていたら、敢えなく売り切れ。残念ながら2版まで待つことに[2]同時に発売された「中世実在職業解説本 十三世紀のハローワーク」も同じ事態に…。やはり読みたいと思った漫画は思った時に予約しておくべきですね。何度か同じ過ちを繰り返しています。2巻は予約することが確定しました。
さて「竜と勇者と配達人」 1巻ですが、1話を読んでの期待感を大きく上回る面白さでした。剣と魔法の世界を現実世界の中世に落とし込むことで、ファンタジーの中で説得力のあるリアリティを獲得しているように思います。それはしっかりと素材と料理の過程を描くことでリアリティを感じさせる「ダンジョン飯」に近いものがあるかもしれません。同時に発売されたのが「中世実在職業解説本 十三世紀のハローワーク」であるように、またタイトルからわかるように「竜と勇者と配達人」は「職業」という部分をクローズアップしていますね。ちなみに主人公であるハーフエルフの職業は配達人です。地味!
ちなみにこの主人公であるハーフエルフの吉田さんですけれども、1話を読んでいた時にはてっきり男性かと思っていました。女性だったのですね。1話でもしっかりと「お嬢さん」と呼びかけられていました…。先輩配達人の男性に単純な尊敬の念なのか、恋心を抱いているかのような描写があったりもするので、もしかしたら恋愛方面の要素も少しはあるのかもしれませんね。あくまで末端の要素だと思いますが…。
ところでファンタジーの世界では、もてはやされることの多い魔術師・魔法使いという職業ですけれども、「竜と勇者と配達人」の世界での扱いはかなり酷そうです。魔術師になって3年という新人からは抜け出したと言える時期の魔術師が2人でお酒を飲むお話があるのですけれども、わりと涙なしには読めませんでした。ファンタジーの世界でも職業選択は難しいのですね…。現実世界でも耳にする、業界研究などを疎かにして、人気職に就いた結果としての転職活動待ったなしな結末はなんとも言えないものがありました[3]「巡る樽」のシステムを考えついた人、絶対に鬼でしょ…。
それにしてもファンタジーの世界でも真面目に考えれば職業がたくさん出来るものだなあ、と読みながら思いましたね。現実世界でもあまり意識せずに生活していると、目に付きやすい職業以外の人の存在を想像もできないことがありますが、ファンタジーの世界でも同様ですよね。竜と勇者と配達人の世界では、ファンファーレ係なる職業も存在していて、レベル制度にも組み込まれています。そのファンファーレ係がパーティーの戦闘中に勝利用と全滅用の笛を握りしめているシーンには笑ってしまいました。そもそもレベル制度を経験値記録官という職業によって維持しているというところも面白かったですね。幼い頃に読んだ、『フォーチュン・クエスト』の冒険者カードシステムを思い出しました。懐かしい…。
そんな訳で「竜と勇者と配達人」 1巻は派手さはないものの、今後も丁寧に世界を描いていってくれそうな展開を予感させる内容でした。この地味さは人を選ぶようにも思いますけれども、ファンタジー・ゲームの設定が好きな方やファンタジー世界の住人になる妄想で遊んだ方にはたまらない漫画だと思います。ちなみに自分もまだ読み切ってはいませんが、同時発売の「中世実在職業解説本 十三世紀のハローワーク」はとんでもない本でした。そちらもオススメです。
References
↑1 | リンク先では1話どころか数話分を読むことができます |
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↑2 | 同時に発売された「中世実在職業解説本 十三世紀のハローワーク」も同じ事態に… |
↑3 | 「巡る樽」のシステムを考えついた人、絶対に鬼でしょ… |
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