全ページゆっくりと改修中です。御了承ください。

【漫画感想】「それでも町は廻っている」 15巻

スポンサーリンク
それでも町は廻っている 15巻
それでも町は廻っている 15巻 / 石黒 正数

いつも愉快な歩鳥が大ボケかまします!究極の天然が巻き起こす想定外なハプニング続出!個性あふれる下町商店街のメンツに爆笑必至!下町の人々の人情味も味な抱腹絶倒ギャグコメディ!今回は歩鳥たちが北海道に修学旅行に行って大騒ぎ!?

Amazon 内容紹介より

初読からずいぶんと時間が経ってしまったので再読しました。相変わらず安定して面白い「それ町」でしたね。最近、1巻からの再通読をしていなかった気がするので近いうちにまた読み直そうと思います。再通読するごとに再発見のある漫画は少なくないですけれども、「それ町」の再発見は本当に多いです。何度も楽しめる漫画ですね。

さて、それ町も15巻になりましたが、連載開始から10年以上、アニメ化からでも5年以上経っているのが不思議な気がします。内容的にはエンドレスで続いてもおかしくない部分が少なくない「それ町」ですけれども、終劇が近付いているような雰囲気はわりと初期から感じてしまっていて、この15巻ではその印象がとても強かったように思います。「それ町」は時系列順に並んでいない、と明言されている漫画ですし、実際にお話も前後関係が入れ替わっていることがよくわかるようになっていることが、ずっと続きそうなお話なのに終劇が近付いている、と感じる理由なのかもしれません。特に15巻では、高校時代の折り返し地点にあるイベントであることの多い修学旅行に行くお話がありますし、1学年上の紺先輩は大学に合格して卒業間近ですし。ネムルバカのこともありますから、そのキャラクターの重要性から「それ町」が紺先輩のいない状態で続くことはないのだろうなあ、とか思ったりする訳です[1]もちろん時系列が関係ない漫画、ということであれば、紺先輩が卒業するお話の後に在学中のお話がくる可能性もなくはないですが…。そういえば、紺先輩の引越しシーンで歩鳥がお米の袋を足に落としましたが、ネムルバカでも同様のシーンがありましたね[2]落とした足に左右の違いがありましたけれども。作者は何か思い入れがあるシーンなのかもしれません。ネムルバカの時と同様に読んでいて泣きそうになってしまったシーンでしたが、その後の展開はしっかりと「それ町」テイストに収まっていたのが嬉しかったです。

それにしても、紺先輩は第一志望の大学に落ちてしまったのですね。14巻の歩鳥が存在しないパラレルワールドと思われる世界では、第一志望の大学に受かっているというお話でしたので、歩鳥の存在が紺先輩の学力にかなりの影響を与えていたのかもしれません。まあ、歩鳥との空間は紺先輩にとって、とても居心地の良いものだったでしょうからね。「…お前のおかげで割と高校楽しかったよ」の代償として、第一志望に落ちなければならなかったとすれば、人生とはそういうものだろうな、と思いました。得られなかったものよりも得られたものを見て生きていたいものですね。

ところで、歩鳥たちと同じく自分も高校の修学旅行は北海道でしたが、人生で一番マズいと思った札幌ラーメンを食べて気持ち悪くなって吐いていた記憶しかありません。アレは酷かった…本当にマズかった…。ラーメン食べた後から調子が悪すぎて、旅程の半分くらいは寝ていましたしね。と、あまり楽しくない思い出が先行するのですが、よくよく思い出すと当時好きだった女の子[3]後に付き合うことになると一緒にカヌーに乗ったりして、ちゃんと楽しんでいたところもありましたね。そういう意味では芹沢先生の「修学旅行の良さはリアルタイムではないんだねィ……」はかなり実感として持っているのかもしれないな、とか読んでいて思いました。

「それ町」で好きなところは人間関係が一様ではなくて、そのグラデーションがかなりしっかりと描かれている点です。わりと多くの漫画が恋愛関係の好き嫌い以外は一様にみんな友だちだったり、逆に一様にいじめられていたりすることが少なくない気がするのですが、「それ町」ではそれぞれのキャラクター同士の繋がり方が歩鳥というハブの存在を介しながら、強弱を付けて描かれているのが読んでいて丁寧だなあ、と思わされるのですよね。しかもそのグラデーションも少しずつ変化していて、きっと時系列順に並べて読むとかなりの変化を感じるのだろうなあ、と思います。

例えば涼ちんは比較的登場が最近ですし、15巻ではあからさまに辰野さんと相性が悪そうな雰囲気で描かれていますが、この辺りも巻を重ねるごとに変化していくと思うのですよね。その変化を少しずつ、たくさん味わっていきたいので、ぜひぜひ今後も末永く続いて欲しいです。以前、石黒氏が完結したらタイムテーブルを書く、みたいなことを書いていた気がするので、完結後にはタイムテーブル順に読んでいく、という楽しみもできるかもしれませんけれどもね[4]公式発表前にタイムテーブルを予想する、という楽しみもあるかもしれませんね

ところで悲しいことにジョセフィーヌが登場しません。好きなんですよね、ジョセフィーヌ。16巻では登場してくれることを願っています。

References

References
1 もちろん時系列が関係ない漫画、ということであれば、紺先輩が卒業するお話の後に在学中のお話がくる可能性もなくはないですが…
2 落とした足に左右の違いがありましたけれども
3 後に付き合うことになる
4 公式発表前にタイムテーブルを予想する、という楽しみもあるかもしれませんね

コメント