白皮と呼ばれる化け物に人々は怯えながら暮らす中、民を支える唯一の希望となる英雄達は「リュウマ」という名を継いでいた。そして千年後。リュウマの刀と白皮の力を持つ女とミズガルズ王との間に生まれた少年がリュウマになり……!?壊れた世界を舞台に繰り広げられる英雄達のストーリー!
Amazon内容紹介より
ここにきてガゴウの面白さが一段と増している気がします。面白さが増しているなと感じた最初の波は5~6巻のミズガルズ籠城戦でしたが、9巻では登場している主要勢力の違いはあるものの、状況としては似ている賭博街オリビアの防衛戦が始まりました。また一転して攻城戦があったり、ミズガルズの時と違って、攻め手側にも防衛側にも思い入れができる部分もあったりするのでテンションがあがります。何せ、オリビアの領主は1巻に登場したかなりクズいリュウマですし[1]久しぶりの登場でかなり痩せていました…、攻め手は長いこと巻末おまけ漫画にしか登場する場がなかったリュウマたちですからね…。それにしても「リュウマのガゴウ」なので仕方がありませんが、リュウマだらけです。
更に、9巻になって1~8巻まで紡いできたお話の全容が見えるようになってきたのも面白さが増した要因かもしれません。9巻の途中には「あらすじ」という名で作者による悲しいお話が書いてありましたけれども、読者の1人としては「話がわかりづらい」という評価は残念ながら的外れだとは思いません[2]そして作者もそう思ってはいるとは思います…。ただ、わかりやすさだけが話しの良し悪しを決定付けるものだとも思わないのですよね。何だかよくわからないけれども面白い、というものがあってもいいと思いますし、ガゴウのようにパーツだけ読んでいると訳わからないけど、全体を見渡せるようになると面白い、というのも1つの形だと思います。しかし、全体を見渡せるようになるだけの時間的な余裕をもらえるか、というのはまた別のお話ではありますが…。元々の予定通りだったのかどうかはわかりませんけれども、現状を考えるとここから再びわかりにくい展開になるとはあまり考えられないので、今後は面白さが加速していくに違いありません。物凄く期待しています。
とは言え、今後も新刊が出るごとに再読の必要性は感じますね。これはお話の性質上、仕方がないことかと思います。個人的にはこういった少し複雑なお話でも楽しむことができる、というところに喜びを見出したいところです。一度読んだだけで満足できるお話はそれはそれで良いですけれども、こういう一見ごちゃごちゃっとしたお話を何度も味わう、というのも魅力的な体験です。
ところでこれは9巻になってからの話ではないのですが、この世界では技術・資源的に建造できそうにない艦船が結構多く登場しますよね。空母までも運用していますし…。今まで航空機の類は出現したことがなかったとは思いますが、空母のメリットとは…とかは考えてしまいました。空母は運用維持のコストも恐ろしくかかるはずですからね。世界的に毎日の食べ物に事欠く状況で、果たして運用することができるのでしょうか。そしてこの時代に建造したのでなければ、どうやって維持してきたのか、というところも疑問点としてはありますよね。
ただ、そんなことはどうでも良くなるくらいに人間ドラマメインのお話ですから、あまり気にしないことにしましょう。リュウマのガゴウは、リュウマと呼ばれた人を始めとして登場人物たちが、それぞれの物語を紡いで死んでいき、そしてそれをまた他の誰かが引き継いでいく様がとてもカッコ良く、魅力的な漫画ですから。どこかで誰かが書いていたのを読んだ記憶がありますけれども、まさに「俺の屍を越えてゆけ」状態に近いと思います。それは、お気に入りのキャラクターが死んでしまう可能性の非常に高い漫画、とも言える訳ですけれどもね…。
ちなみに自分のお気に入りのキャラクターは「アインス」さんです。9巻ではほとんど出番がありませんでしたね。次の出番で死んでしまうかも…と思うと複雑な気持ちになりますが、10巻での活躍に期待しています。生き死にはともかく、富豪将ほどは酷い扱いにはならないと思いますので…。
さてさて、そんな訳でリュウマのガゴウが9巻になって今後大注目な漫画になってきた気がします。今まで読んできて本当に良かった、と思います。今後もしっかりと続いて欲しいので、ぜひ色々な人に読んでいただきたいですね。頑張って9巻近くまで読める方に限りますけれども、オススメです。
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