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【漫画感想】「EX-ARM エクスアーム」 5巻

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EX-ARM 5巻
EX-ARM 5巻 / 古味 慎也, HiRock

セクサロイド娼館襲撃事件の果て、アキラは暴走するエルミラを「“逆”空間消失」で制圧!!! だがアキラはそのために北米防空司令部(NORAD)のGPS衛星をハッキング。無法な行為にEX-ARM対策課は国際社会から圧力を受ける事態に…。その打開策をアキラの“失われた過去”の記憶に求め、対策課員たちはアキラの“脳内”にダイブ。だが、非常事態が発生する…!!?

Amazon 内容紹介より

桂正和氏の絵柄に似た女の子キャラクターたちが「逮捕しちゃうぞ」的なバディもので「攻殻機動隊」の世界観のもとSFする、と言ったらわかってもらえそうな「EX-ARM」の5巻です。中高生男子の大好物を詰め込んだ感はありますよね。実際、大好物です[1]中高生男子ではありませんけれども…

攻殻機動隊のSF観みたいなものを踏襲しているので、とても理解しやすい・読みやすい反面、SFとしてオリジナリティに欠ける気がしてしまうのは、どうしても否めません。その点、EX-ARMの世界とはパラレルワールドという扱いになっている、前作「EX-VITA」はもう少しバディ色が強くて良かったのにな、という印象がありますね。EX-ARMでは主人公にアキラ君[2]脳だけ人間という男の子を置いてしまっているので、どうしてもバディ色は薄くなってしまうのだろうな、とは思います。個人的にはアキラ君、主人公扱いじゃなくて良かったんじゃあ…とか思ってしまいますね。

さて、5巻の前半は4巻後半から突如始まったVR世界での学園編でしたが、そのVR世界の創造主である主人公のアキラ君はかなり楽しみまくっていましたけれども、作者の古味氏も随分と楽しかったようですね。カバーのそでの部分でのコメントにほっこりしました。古味氏の絵柄で学園モノというのも、かなり需要ありそうなので次回作以降、あるかもしれません[3]個人的には学園モノは避けて欲しいな、と思いますが…

それにしても、学園編の最後の最後に出てきた女性は初出だと思うのですが、何者でしょうか。女性キャラはわりと似ている造形が多いので、誰が誰だかわかりにくくなることが結構あるのが難点です[4]アンドロイドが似るのは仕方がないにしても。今回も以前に出てきたかどうか、非常に悩んでしまいましたね。ちなみに学園編の最後には、主人公が生身の人間だった頃、2014年当時に主人公のお兄さんと付き合っており同じ入谷研究所に所属していた女性、宗像香織さんが入谷重工CEOになって登場していたりして[5]2巻のラストで匂わされていましたが…、その辺りのお話がきっと”始まり”なんだろうな、とか思いました。結構、闇がありそうな予感です。ラスボスはお兄さんな感じ、ありますよね…。

そして5巻の後半は「ARM対策課課長」の士牙さんをクローズアップするお話でしたね。カッコ良い憎まれ役みたいな役どころなのでしょうけれども、士牙さんのとった自分への憎しみをもって生きる糧にさせる、という手段はちょっと悪手ではないかなあ、という気がしてなりません。ああいった憎まれ役のカッコ良さって、少し時代遅れ感があると思うのは自分だけですかね。憎しみが生きる糧になった結果としての世界が現実世界に溢れすぎているのが、そう思う理由かもしれません。前半の学園編が量子コンピュータ「ユグドラシル」とそのアバターや入谷重工をクローズアップするお話と言えるでしょうから、5巻は全体的に小休止的な、もしくは転換点的な巻となっているのでしょうね。

そんな訳で「EX-ARM」5巻はメインストーリーからするとお話自体は特に重要ではなさそうな巻でした。メインストーリーが重めでなければ、今回の学園編のような日常回を長く読んでいたい気がするのですが、それを許さないメインストーリーの重さがあると思いますから、なかなか難しいですね。「攻殻機動隊」のSF観のもとで、もう少しお話の規模を縮小した方が楽しめただろうな、という印象が強いです。画は間違いなく魅力的ですから、今後のお話の展開によっていい意味で期待を裏切って欲しいな、と思います。

References

References
1 中高生男子ではありませんけれども…
2 脳だけ人間
3 個人的には学園モノは避けて欲しいな、と思いますが…
4 アンドロイドが似るのは仕方がないにしても
5 2巻のラストで匂わされていましたが…

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