命からがら遺跡に辿り着いたシオとヨウイチは、捜し求めていた級友・阿螺井と再会して無事を喜び合う。だが、探索中にオーパーツを入手し超古代文明の知識と戦闘力を獲た彼は尊大な自信家に変貌していた。一方遅れていた先輩一行も、漸く遺跡に辿り着く。それを察知し、一人出迎える阿螺井の思惑は…!? 驚異のオーパーツ「霧立つ太陽」をめぐって繰り広げられる争奪戦! ついに仲間にも犠牲者が!? 弾高の日常を描いた掌編も収録! 必読の第7巻!!
Amazon内容紹介より
最近、影が薄いと評判[1]自分の中での朝生田先輩が表紙の「放課後!ダンジョン高校」7巻です。7巻では、長時間のダンジョンアタック中なので仕方がないかもしれませんけれども、2巻の表紙の頃と比べると「放課後!ダンジョン高校」における(汚れ)アイドルポジションであるはずの朝生田先輩に疲れが見えているような…物理的に汚れてしまっていますし。基本的に主人公の宇佐見君とシオちゃん以外の登場人物は高校生のわりに内面がドス黒いのですが、他のキャラクターたちが黒さを強化している中で、相対的に朝生田先輩は黒さを失いつつあり、同時に存在感も失ってしまっているのかな、とか思います。
さて「放課後!ダンジョン高校」の7巻は6巻に引き続き、堕ちていく阿螺井君のターンです。正直、堕ち方に中途半端感があって、読んでいてツラいですね。漫画的に中途半端ということは、それだけリアリティがあるからツラいのかもしれませんけれども…。P126ページの件などは笑える流れだったはずなのですが、あまりのツラさに苦笑もできなくて、よけいにツラさが滲みました。ただ7巻までで見せている、その中途半端な野望や周囲の切り捨て方などは、とても俗っぽくて憎みきれない部分もあったりなかったり。なかなか難しいところです。
阿螺井君のお父さんの話も含めた過去[2]4巻辺りのお話ですねからは、あまり大きな野望を抱く理由が見付からない気がするのですよね。人が野望を抱く理由なんて千差万別な気もしますが、阿螺井君の場合は高校入学以前から、抱えていたものもあったみたいですけれども、それにしても人間をやめる決断をしたり[3]この高校の人たちはみんな大なり小なり人間やめてしまっている人が多いですけれども…、人間を殺めるかもしれない行動をとったりするのに躊躇がなさすぎるように見えます。また、それがすべての行動で徹底されているなら理解できるのですが、意外と宇佐見君には甘いですし。それは単純に宇佐見君が善い人だから、と言えばそうなのかもしれませんけれどもね…。そういった言わば人間っぽいブレみたいな部分が魅力として映らないところが阿螺井君の残念なところと言えるのかもしれません。
ところで5巻から最後の1話分挿入されているサイドストーリー、今回は宇佐見君たちが入学する前の古美術部と朝生田先輩たちが、頑張って動画投稿で稼ごうとするお話でした。現実世界にダンジョンが存在したとしたら、確かにYouTuber的な方々がこのお話の中のように色々な形で動画投稿をするだろうな、というのはありますね。ただ、こんなにもダンジョン探索がメジャーなものだとしたら、なぜ宇佐見君は高校入学までの間にダンジョンの存在を知らなかったのか…1巻冒頭で阿螺井君が宇佐見君に言った「情弱乙ってことで」は、まあ言われても仕方がないかな、とか思いました。高校生になるくらいの年齢であれば、自分の入学する学校くらいは検索しておきませんとね。
そんな訳で「放課後!ダンジョン高校」ですが、段々と最後まで見届けないと、という気持ちになりつつあります。6巻の時も書いた通りパーツとして見れば、魅力があるところも少なくないのですが、全体としては残念な印象の方が強いです。ダークなキャラクターたちもそれ自体は嫌いではないのですし、舞台も悪くないと思いますけれども、やはり踊り方の問題でしょうかね。何度でも書きますが「ライコネンの熱帯魚」、オススメです。
コメント