投資家から資金提供を受けた西村真琴は、最新の機材が揃ったラボで、ヒト型ロボット「ロビンソン」の開発を再開する。新たに加わったメンバーとともに、ロボット競技大会での優勝を目指す真琴。ロボットに対する要求はどこまでも高かった。人間の相棒たりうるロボットを求め、男はあがき続ける!!
Amazon内容紹介より
リアル系のロボットエンジニア漫画「アイアンバディ」2巻です。表紙が板金屋の2代目で凄腕エンジニアの宇治香織さんだったので、何だかんだと言っていても2巻からチームに合流かと思いきや、それほど出番もありませんでしたね。気の強い黒髪ミディアムストレートな女性は好みなので、主人公の西村さんを罵倒するなどの活躍をして欲しかったのですけれどもね…。3巻の宇治香織さんの活躍に期待です。
さて、期待値・応援込みで2巻まで買った「アイアンバディ」ですが、最初に思っていた以上に熱い漫画でした。スポーツ系熱血漫画と熱さの質は違う気はしますが、その熱量は似たところがあるように思います。熱さが苦手な工学系の方の中には合わない方もいるかもしれないくらいの熱さですね。個人的には主人公・西村さんの狂気的とも言えるようなロボットに対する情熱は見続けたくなるものがありました。絶対に一緒には働きたくないですが。
それにしてもファンドが投資をして、というお金の流れが描かれているのはとても良いなあ、と思うのですが好条件すぎてファンドの星山さんが神様のようにしか見えません。星山さん本人が「お金も出すけど口も出す」と宣言していたので、今後面倒な注文をつけてきておかしなことになる、という展開は考えられそうですが、現状ではお金は出すし、優秀な人材集めも奔走してくれるし、まともな発言連発だしで、今後の劣化が想像できません。ご都合主義的なパワーアップも嫌ですが、ご都合主義的な劣化もガッカリしてしまうので、少し恐いところではあります。
ところで1巻の時から登場するロボットたちが凄すぎる、というようなことは若干あるのですが、アイアンバディに登場するロボットたちの性能というのは実在するロボットたちの性能と比べるとどのくらいのところに位置するのでしょうかね。ロボット工学に関してもまったく詳しくはないので、何となくではありますが、イクミくんが作ったほぼ鉛直投げ上げ[1]高さ20m弱を下投げ機構にしても、決して簡単ではないと思うのですよ[2]単に投げ上げれば良いだけの内容でもありませんし。まあ自重を支えてあの高さを登り切るという機構よりは難しくはないかもしれませんけれども、ロビンソン[3]主人公たちが作ったロボットの腕もそれほど長くないしなあ…とか考えてしまいました。
こういう少し気になってしまう、考え込んでしまう点がリアル系の漫画の難しいところではあるとは思いますが、自分としては現実的ではないとしても、多少虚構が入ってしまっていたとしても、アイアンバディは「リアル系」と呼んで良いかと思います。「リアル」ではないかもしれませんけれども。ちなみにアイアンバディの中で一番気になったのは、ロボットの動き・性能以上に西村さんの労働に対するデスマ[4]デスマーチ – Wikipedia上等的な考え方でしたね。イクミくんに対しても「体力ありそう」という評価でしたし。星山さんは西村さんに対してマネジメントができていない、という評価をしていたので好きなことをやるなら寝る間を惜しむのは当然みたいな話にはならないと信じています。このまま情熱と根性で突き進んでしまったら、ロビンソンが空を飛んでしまったのと同じくらいガッカリしてしまうかもしれません。
そんな訳で「アイアンバディ」2巻は1巻から変わらず熱さが満ちているリアル系のロボットエンジニア漫画でした。好みとしては、今後ロボットがあまり凄くなりすぎずに、地味な問題を少しずつ解決していくような[5]ファンドの注文をはぐらかしながら展開になって欲しいなあ、とか思いました。それだと漫画の中でのファンドを繋ぎ止められるかよりも、商業誌で読者を繋ぎ止めることが難しい問題になるのかもしれませんけれども…。
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