【漫画感想】「決闘裁判」 1巻

決闘裁判(1) (ヤンマガKCスペシャル)

『東京カラス』『リュウマのガゴウ』の宮下裕樹が放つ中世ファンタジー巨編!17世紀初頭、神聖ローマ帝国。この地では、原告と被告の決闘で有罪無罪が決まる「決闘裁判」が広く行われていた。神は正しい方の人間を勝利に導く、という教えのもとに‥‥。少年ニコが姉と暮らす南西の町ブライザッハでも決闘裁判が日々行われていた。決闘裁判を嫌う姉をよそに、ニコは特に何も考えていなかった。姉が死んだその日までは‥‥。

Amazon内容紹介より

数少ない作者買いの漫画ですね。「正義警官 モンジュ」経由で「東京カラス」「リュウマのガゴウ」と楽しませてもらっているので、新作である「決闘裁判」も連載開始のアナウンスを聞いた時から楽しみにしていました。発売当初に買ってしっかりと読んではいましたが、ブログの更新自体が停滞してしまったので発売からかなり経ち、2巻の発売を過ぎてからの感想文となってしまったのが残念でなりません。あともう少し早く頑張れば、2巻発売前に書けたですのに…。悔やまれます。

 

さて、決闘裁判1巻です。好きな作者の新連載1巻の始めは、いつもドキドキしてしまいます。宮下裕樹氏の漫画は個人的にはとても安定感があると思っているのですが、やはり新連載がどう転がっていくのか、というところにはごくごく一部の超売れっ子漫画家の方々以外は読者の反応を含めて読めないところがあるでしょうから、難しいですよね。「とても面白かったのに…」と思いながら、想像もしていなかった形で終わってしまった漫画がチラホラと思い浮かびます。ちなみに今回の「決闘裁判」に関しては無難なスタート、という感じがしますね。

漫画のテイスト的には「リュウマのガゴウ」に近い印象です。ただ、決闘裁判という史実として存在したシステムを下地にして描かれていくと思われますので、リュウマのガゴウよりも世界観はわかり易くなるのではないかな、と予想しています。私自身は決闘裁判という歴史上のシステムについての本を読んだことがある訳ではないので、漫画が2巻以降も続いていく過程でそちらへの興味も伸ばしていけたら、と考えているところです。講談社現代新書で出版されている「決闘裁判―ヨーロッパ法精神の原風景」はその本単体でも相当に面白そうですし、ぜひ近いうちに読んでみたいですね。

 

ところで決闘裁判を読みながら、宮下裕樹氏はきっと「正義」というモノをテーマとして漫画を描いているのだろうなあ、と今更ながらに思いました。前述した3作品に「強制ヒーロー」を加えて考えてみても、様々な立場にいる人々が主張する種々の正義を、それぞれの漫画にあったテイストに合わせて提示してあるように感じられます。私は作者インタビューなどを読むタイプの読者ではないので、過去にその辺りに関する言及があったのかどうかは知りませんが、恐らくは何かしらの思い入れみたいなものがあるのだろうな、と思うようになりました。各作品を読んで私が想像するに、作者自身には「これが正義だ」とするものは特になく、ないからこそ、揺れ動く「正義」というものを共通するテーマとして描いているのではないかなあ、と思ったり思わなかったり…。

ちなみにまったく関係ありませんが、個人的には各話間に挿入されている「アリア・ルーインズちゃんの行列のできる決闘裁判所!」という史実であった当時のことを書いてあるコラム的なコーナーと、カバー袖の部分に挿入されている「決闘裁判のグルメ」の続きにも期待しています。「決闘裁判のグルメ」に関して、今回取り上げられた鯉が、話内で登場してきた時には、あの食べ物が鯉だなんて想像も出来ませんでしたが…。あれが鯉だってわかった人、いたんでしょうかね。

 

そんな訳で「決闘裁判」は、まだまだ序盤も序盤で面白いかどうか決める段階ではないように思いますが、テーマとしては興味をひかれる、引き込まれるものがある漫画だと思います。また時代背景もファンタジーと現実世界との境界がボンヤリとするような雰囲気をもったところが多々ありますから、漫画として描くことの出来る幅が広がっていくであろうと想像出来ますので、今後の展開には大いに期待して待とうと思います。そして「決闘裁判」も全10巻程度のボリューム感でキレイにまとまってくれたら、きっと「面白かったなあ」と思える漫画になるのではないかな、と思ったり。とりあえずは、買ってある2巻をこの感想文を書き終わった後に読み始めようと思います。

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