17世紀初頭、神聖ローマ帝国。この地において、裁判とは暴力であった――。原告と被告の決闘で有罪無罪が決まる「決闘裁判」が広く行われていた。「神は正しい方の人間を勝利に導く」という大義名分のもとに‥‥。ニコとクロイツの決闘裁判は、圧倒的不利だったニコの捨て身のカウンターが決まったところで、アリアが一人の子供を連れてくる。それはフライブルク前領主と妃の息子であり、この国の正統なる後継者だった。子供が救出されたことで、クロイツは今までの自分の行いへの懺悔と代官ゲルルフの不正を告発しようとするが‥‥。
Amazon内容紹介より
すでに4巻で完結[1]打ち切りとなってしまっている『決闘裁判』です。2巻の感想文でも書きましたけれども『宮下裕樹』氏の漫画は好きなので全作品買っているのですが、2022年8月現在では『任侠転生』と『宇宙人ムームー』が連載中となっています。『宇宙人ムームー』については既刊4巻までは感想文を書けているので、次は『任侠転生』の感想文を…とも思ったのですが、まずはこの『決闘裁判』の感想文を終わらせておこうと思います。
さて『決闘裁判』3巻です。表紙はライバル・キャラクターである『ベルンハルト・フォン・ヴァンシュタイン』さん。カッコ良いですけれども、あからさまに悪役顔です。帯には「本当に悪い奴を見たことがあるか?」と書いてありましたね。完全悪人。2巻までは何だかよくわからないけど悪役である『ベルンハルト・フォン・ヴァンシュタイン』さんの単独行という感じでしたけれども、3巻からはお供というか部下の方々も登場しました。皆さん、かなりの悪役度でしたね[2]とはいえ、まだまだほとんどのキャラクターがお話に絡んでいませんけれども…。『ベルンハルト・フォン・ヴァンシュタイン』さんたちとヒロインである『アリア・ルーインズ』ちゃんや『ヴォルフ』さんとの因縁、そしてまさかの主人公『ニコ・マイルズ』君とも無関係ではなさそうなお話も語られ始めました。ファミリー的の問題から神聖ローマ帝国という壮大なお話が始まろうとしていますね。
また3巻で新たに登場したセクシー・キャラクター『マヌエル』さんは、自分としてはなかなか好みな雰囲気のキャラクターでした。医術に秀でたキャラクターということでしたが、戦闘能力は今のところなさそうでした。ライバル・キャラクターたちに戦闘狂のような人物が多そうな中でどうなるのかな、と思わなくもないですが…まあセクシー・キャラクターなのでヨシとしましょう。ちなみにマヌエラさんが装着していたペストマスクですが、『ベルンハルト・フォン・ヴァンシュタイン』さんのお仲間たちも装着していました。長距離を旅する人たちには必須と思われていた装備だったのか、それとも単純にデザイン的な話なのかはわかりませんけれども、個人的には結構好きです。2022年現在のご時世的にはあまり手放しで面白がれないのが残念ではありますが…。
ところで、1巻から気になっていたカバー袖の部分に挿入されている『決闘裁判のグルメ』、3巻では「アイントプフ」でした。「農夫のスープとも呼ばれていた」と書かれていましたが、シチューやポトフと似たような感じですよね。現代ではジャガイモを入れるのが一般的なようですが『決闘裁判』の時代にはまだまだヨーロッパではジャガイモが普及する前だったようで、『決闘裁判』でもその辺りのことがお話で触れられていました。
各話間に挿入されている「アリア・ルーインズちゃんの行列のできる決闘裁判所!」という史実であった当時のことを書いてあるコラム的なコーナーでも新大陸由来のジャガイモ、トマトに関して書かれています。この辺のエピソードは新書などでもよく読む気がしますが、本当に面白いですよね。またそういった本も読みたくなりました。
そんな訳で『決闘裁判』3巻は序盤のお話が一段落して、とうとうお話が始まり出した、という感じでした。4巻で完結、ということを考えるとこれからというところで残念ですね。この感想文を書くために改めて1巻から読み直していますが、かなり色々な展開が考えられていたんだろうなあ、と想像してしまいますね。4巻完結という終わり方が本当に悲しいです。
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