知識は力と等しいもの。17世紀。英国公認の海賊船に、博識かつ好奇心旺盛な探検家・ダンピアも乗船した──。未知の世界を食べて調べる、実在の人物と史実をもとにした海洋冒険飯漫画!【WEBマンガ総選挙2020:第4位受賞】
Amazon内容紹介より
『ダンピアのおいしい冒険』の最新巻の感想は以下になります
『ダンピアのおいしい冒険』2巻の初版は2020年12月。17世紀に実在した『ウィリアム・ダンピア』という人物の史実にもとづくお話です。「知ること」「知識」というものを非常に大切にした『ダンピア』という人物を描くことで、その重要さを伝えてくれる漫画ではないかな、と思います。学習漫画を読んでいるような気軽に新しい知識を得られるというところが大きな魅力ではないでしょうか。
さて『ダンピアのおいしい冒険』2巻です。内容の前に1巻の「あらすじ」が載っているのですが、1巻収録のCHAP.1からCHAP.8までの各話を200文字程度の文字数でわりとしっかりと説明してくれていてかなり好感が持てました。また1巻には巻末に漫画には珍しい、かなりしっかりとした参考文献リストが記載されていたのですけれども、2巻では巻末に「ダンピア年表」ということでダンピアの誕生から歴史的な出来事の時系列が並んでいて、更に各話の対応も載っているという丁寧さ。特に2巻では過去のお話も含まれているので1巻のお話も含めて年表として時系列が確認できるのはとてもありがたかったです。「ダンピア年表」は最終巻にもしっかりと記載されてそうな予感ですね。今から各巻各話の年表と時代年表を見比べるのが楽しみです。また各話間にはその時代やお話の中で触れられている歴史的な出来事についての説明がコラム的に書かれています。この辺りのしっかりした作りも学習漫画味があって、知識の入り口としての効果が高そうだと感じます。漫画の帯にもありますが「知識は力と等しいもの。」ですよね。
ちなみに2巻のCHAP.16『2人の探求者』では1巻よりも過去のお話になっていますが、そのお話の中では『コイバ島』という場所が舞台になっています。漫画の中では『ダンピア』が1巻の知識を尊ぶ人物像に至る象徴的で大切なエピソードになっていると思いますが、このお話の中で『マンチニール』という植物が登場します。『マンチニール』についての詳細は下記のWikipediaにて確認していただきたいですけれども、この植物は猛毒を有していて、そのリンゴに似た実を食べるだけでなく、当時は「その樹の下に立つだけでも死ぬ」と言われていたとのことです。日本国内では食べれば猛毒、という植物は少なからず存在していますけれども「樹の下に立つだけ」で生命の危機に瀕するという植物は耳にしたことがありません[1]もちろん自分が聞いたことがないだけかもしれませんが…。リンゴに似ている実を見れば、食べてみたくなる、食べられるだろう、と思うのがある意味で当然です。そこで「猛毒を有している」という知識を持っているかどうか、というのは本当に大きな力となります。まさに「知識は力と等しいもの。」です。インターネットで情報を検索できる、ということで多くの情報の価値というのは過去のどの時代にも比べて落ちているようにも思いますが、とは言え、基本的には知識が重要である、ということは現代でも間違いないでしょう[2]。
ところで1巻でも触れましたが『ダンピアのおいしい冒険』2巻にも様々な食べ物が登場します。2巻ではブタスモモ、ブービー[2]カツオドリのこと、ブービーの卵、トディー、山牛などが登場して食べられています。1巻に引き続き、美味しそうだったり、美味しそうではなかったりしますが、現代日本でも一般的には食べられているものではないので、当時のヨーロッパ世界では本当に珍しい食べ物だったのでしょうね。個人的には読んでいてブタスモモがかなり気になりました。「ブタスモモ」というネーミングがアレですけれども、ちょっと美味しそうです。「ブタスモモ」は現在のエルサルバドルにあるマンジェラ島という場所でのエピソードで登場しますので、エルサルバドルやメキシコなどに行けば同じ物が食べれるのかもしれませんね。もしかしたら、同じ物が日本国内でも流通しているのかもしれませんが…。全体的に1巻に比べると若干登場する食べ物は少ないです。
そんな訳で『ダンピアのおいしい冒険』2巻は1巻に引き続き知識の窓口としてとても優秀な学習漫画のような側面がありつつも、単純に面白いお話の作品になっていました。基本的には1巻以前の過去のお話がメインでしたので、1巻以降のお話の続きが気になるところなのは間違いありません。
『ダンピアのおいしい冒険』の作者である『トマトスープ』氏による連載中の別作品『天幕のジャードゥーガル』の感想文を書きました。
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