鉱物採集は現代の宝探しだ!宝石やアクセサリーが好きな女子高生ルリが、山へ川へ洞窟へ、鉱物採集の世界に飛び込んでいく。第1巻では、水晶、ガーネット、黄鉄鉱、砂金、蛍石など多数の鉱物が登場します。パニング皿、ハンマー、地形図など、専門的なツールを用いた採集シーンも魅力満載。鉱物学を修めた作者の確かな知見に基づく、本格サイエンスアドベンチャー!
Amazon内容紹介より
『瑠璃の宝石』の最新巻の感想は以下になります
『瑠璃の宝石』1巻の初版は2020年10月。鉱物採集をテーマとしている漫画です。そんな漫画を描いているのが鉱物学を修めている方、という凄さ…。専門的な学問領域を修めていないと、その分野の漫画を描けない、とは思いませんし、漫画の中での事実と違った創作には魅力を感じることも少なくはありませんが、やはり安心感がありますよね。少なくともそこに描かれている内容に常に疑問を感じながらお話を読む、ということからは無縁そうな漫画です。
さて『瑠璃の宝石』1巻です。メインの登場人物である[1]といっても1巻での登場人物は3人だけですが…大学院生の『荒砥凪』さんと女子高生『谷川瑠璃』さんとの関係性がなんとも言えません。高校生の頃に大学院生とすごせる時間があったとしたら、きっと有意義だっただろうなあ、と自分の高校時代を振り返って思いました。逆に自分が一般的な大学院生の年齢の頃に、この『凪』さんのような態度で高校生年齢の人に接することができただろうか、と考えると『凪』さんの誠実な姿勢というのは立派だなあ、と感心してしまいましたね。とは言え、この1巻のペースで『凪』さんと行動を共にする『瑠璃』さんの高校生生活は、以前とは一変してしまっただろうなあ、とか心配もしたり…。1巻の冒頭で高校の友達らしき人物とアクセサリーを眺めている、というまさに高校生らしい生活が戻ってくるのか。すべてを手に入れることはできませんけれども、バランスを求めるのか、突き抜けるのか…。そういったことを考えるとどうしてもバランスを求めてしまう自分はきっと『凪』さんのような人に出会っても『瑠璃』さんのようにはならなかったのだろうなあ、とか思いました。『瑠璃』さんのような「強引さ」と「素直さ」は本当に大切な素養ですよね。
それにしても鉱石採集ってロマン溢れていますよねえ…。お話の中で『瑠璃』さんが散々気にしている経済的な価値ももちろんですが、同時に『瑠璃』さんが触れていく単純な鉱石の美しさ、不思議さ、析出するまでに流れる悠久の時間というところにもロマンがありまくります。自分も鉱石採集に憧れはありますが、完全なる出不精なので自身で鉱石採集に向かうことはなさそうなのが悲しいです。上でも触れましたが、高校時代の自分の身近なところに『凪』さん的な存在がいれば…とか思ってしまいます[2]ただ、そうすると地理専攻とかしてしまって大変なことになりそうなので、諸刃の剣かもしれませんが…。そして前職の時の年下の同僚に鉱石採集が趣味、という方がいたことを思い出しました。その話を聞いた自分は「とんでもなく素敵な趣味だね！」と心の底から言った記憶があるのですが、よくよく考えればもう一歩踏み込んで一回くらい鉱石採集に連れて行ってもらえば良かったなあ、とか今更ながらに思ってしまいました。まあ、当時のことを振り返って考えると全方位的に難しい話にはなりそうですけれども…。
ところで『凪』さんの戦鎚を背負った姿は勇ましすぎてちょっと笑いました。ただこのサイズの戦鎚は場所によっては物騒すぎるシロモノですよね。男性が持っていたら完全に事件発生の予感です。そして戦鎚って本当に骨董市で売っているものなのでしょうか…。気になりました。ちなみに戦鎚と表紙・裏表紙のイメージがRPGっぽさがあり、可愛らしくて好きでした。漫画紹介にも「本格サイエンス・アドベンチャー」と書かれていますが、まさにアドベンチャー感ありますよね。漫画の中でも触れられていますが、鉱石採集するような場所には熊などの野生動物が出没したりすることも少なくないでしょうし、そうでなくても目標とする鉱石の種類によっては登山と似たような装備をしなくてはいけないでしょうから、アドベンチャー以外の何物でもないかもしれません。そういった諸々のことを考えると、ただでさえ出不精な自分にとってはハードルが高すぎる趣味かなあ、と思いますので余計にこの漫画を通して鉱石採集が楽しめるというのはありがたい話です。
そんな訳で『瑠璃の宝石』1巻はなかなかお目にかからない鉱石採取をテーマにした漫画でした。まだ1巻ですし、かなりライトな部分のお話なのだろうな、と思いますがそれでも大して素養のない自分にはなるほどなあ、と思わされるところがありました。新たなる登場人物含め、2巻以降も楽しみです。
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