鉱物採集は自然との対話<コミュニケーション>だ!鉱物採集に熱中している女子高生ルリが、次に目指すのは、サファイアの産地! ほんのひと欠片の標本と科学的知識を手掛かりに、鉱物の生まれた場所を見つけ出そう。本格サイエンスアドベンチャー、待望の第2巻!
Amazon内容紹介より
『瑠璃の宝石』の最新巻の感想は以下になります
『瑠璃の宝石』2巻の初版は2021年8月。鉱物採集をテーマとしている漫画の2巻です。2巻でも1巻にも引き続き順調に鉱物学にハマっていけます。鉱物採集がテーマの漫画だなんて珍しいとは思いますが、作者の『渋谷圭一郎』氏が鉱物学を修めている、という情報を見ると納得感があります。そして1巻でも書きましたが、描かれている内容に安心感があります。
さて『瑠璃の宝石』2巻です。1巻ではほぼフィールドワークのみのお話でしたけれども、2巻にしてデスクワークのお時間も始まりました。女子高生の『瑠璃』さん、どう見てもデスクワーク苦手そうですし、実際にお話の中でもそういった描写がなされていますが、1巻でのフィールドワークで得た興味・関心や知識をもとにして、何とかデスクワークもこなしていき、更にはそのデスクワークの意味や奥深さまで感じていく、というところには『凪』さんのチューターとしての優秀さを感じてしまいました。『凪』さん、お弟子さんが欲しかったのかどうなのかはわかりませんが、2巻でも相変わらず丁寧に『瑠璃』さんに接している姿勢が感じさせられて素敵です。1巻の後半から登場した学部4年生の『伊万里曜子』さんも含め『瑠璃』さんに対する態度が理想的で羨ましくなりますね。現状、登場人物が3人しかいないことは気になりますが[1]『瑠璃』さんのお母さんは登場しましたが…、とはいえ、この3人が2巻までのように鉱物採集に勤しんでくれるのを長く眺めていたい、と思わなくもありません。恐らくはまだ登場人物は増えるとは思いますが、できれば穏やかな鉱物採集ができるメンバーであって欲しいなと思ってしまいました[2]9割9分、追加される登場人物は女性でしょうけれども…。
また2巻のお話の中で語られている「効率化と手抜きは違う」という部分には、「だよねえ…」と納得しまくりでした。それに対する『瑠璃』さんの「どちらも楽しようと言っているのに」というセリフには「気持ちわかるよ…」と言ってあげたくなりました。こうやって漫画を読んでいるだけであれば当然その違いはわかりますけれども、実際に自分が対処する際にはわりと効率化と称した手抜きをしてしまうことがあるよなあ、と身につまされるお話でしたね。ちょっとだけ思い出してツラい気持ちになりました。効率化、難しいですよね。それに対して手抜き、簡単ですし、その誘惑は抗うのが非常に難しいです。手抜きをして自分が損をしたりするだけであればそれだけですが、仕事の種類・内容によっては致命的な結果を招く可能性すらありますから、やはりその誘惑には打ち勝たなければなりません。そういった意味でもこの2巻で描かれる「効率化」と「手抜き」の違いとまたそれに伴う『瑠璃』さんの失敗体験というのはかなり重要な描写だなあ、と思いました。
ところで2巻では「サファイア」の採集をメインテーマとして描かれていましたが、1巻冒頭でサファイアのような鉱物と呼ぶよりは、もうほぼ宝石と分類されるであろう鉱石を見付けてしまったら『瑠璃』さんはそれで満足してしまったのではないだろうか、とか思いました。1巻で水晶・ガーネット・黄鉄鉱・砂金・蛍石などで少しずつ鉱石全体への興味や関心を高めていってのサファイアなので、このサファイアの調査・採集の後も他の鉱物の採集へ出かけるのだろうなあ、と思わされましたね。3巻で採集の目標にする鉱物は何なのでしょうか。今までの『瑠璃』さんの興味・関心の方向としては経済的な価値の高い物が目標になってきましたが、これまでのお話を経てだとまた違った可能性がありそうです。ただ2巻の最後に『凪』さんの「採集後に調べて見えてくることも多いからな」というセリフに何か閃く『瑠璃』さんの姿が描かれていたので、3巻も引き続きサファイアのお話となるのかもしれませんね。それはそれで採集した後もしっかりと描かれる鉱物「学」をテーマとした漫画として素晴らしいことだな、と思います。
そんな訳で『瑠璃の宝石』2巻は1巻に引き続き登場人物たちが真剣に鉱物採集に勤しむ姿を見られました。デスクワークも始まって本格的に鉱物「学」という雰囲気も出てきました。この時点で、なかなか趣味の範疇ではライト寄りというよりは、高レベルな感じになってきましたが、3巻ではどういった鉱物を探しにいくのでしょうか。楽しみです。
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