三十路の温巳と19歳下のいとこ・久留里がお弁当をとおして家族になる物語がついに完結!! 淡い恋心を告白した久留里に対する温巳の返事とは…?
Amazon 内容紹介より
年始に積み漫画を眺めていて発見しました。約半年も積んでいたようですね。5巻辺りまでの印象がかなり良かったので、後半戦は正直少し残念な気持ちで読んでいたのですが、とうとう10巻にて7巻辺りから見えていた形での完結を迎えたという感じでしょうか。10巻通してだと、悪くはなかったけど…という評価になってしまう漫画でした。もったいない印象が強いですね。
さて『喰う寝るふたり住むふたり』もそうなのですが、ここ最近の私のブームである生活感のある漫画はハマる時はとことんハマってしまい、何かが鼻に付くと、どうしても楽しく読めなくなってしまう、というところがある気がします。高杉さん家のおべんとうに関して言うと、善意で行動しているつもりなのに害を為すタイプの登場人物が多いように感じてしまった点で途中からツラくなってしまったようです[1]実際にいたかどうか、よりは私がそう感じてしまったかどうか、がポイント。
個人的には物語の最後での久留里ちゃんの選択はまだ理解が出来るのですが、温巳(はるみ)君の選択は同性としてあまりよくわかりません。それは結果として紫の上計画状態になったから、という部分ではなく、4年間も放置したというところです。1年でも長いのに4年間放置って…[2]ちなみに私はフランスとそこそこ近い国との間で3年半という経験はあります。保護者から対等な男女としての移行期間、と言えばそうなのかも知れませんが、それにしてももう少し賢い方法があったでしょう、と思ってしまいます。保護者になったことがない私ですが、保護者であれば放置して良いところでも、対等な男女の関係であれば放置してはいけないところ、という場面はたくさんあると思うんですよね。お互いの生活が大きく揺れ動き続けている時期な訳ですし。まあ、最終的に物語の中ではめでたしめでたし、なのですから問題がない対応だった、ということも言えるのかもしれませんけれども…。
ただ、相当にお節介そうな面子が多い周囲の人たちが4年間見守ったという部分だけは納得が出来ませんでした。さすがに横槍入れるでしょう、あの人たちの誰かが。そして、もしその横槍を入れなかったのであれば、それが周囲の人たちの成長を表しているのでしょうし、周囲の横槍で動かされた結果でないことが、温巳君の成長の表れだったはずだと思うのですけれども、その辺りのことが特に触れられていないのが残念でなりませんでした。
後半に残念な展開が多かったことで、どうしても辛めな評価になってしまう漫画ではありましたが、前半特に3巻辺りまでの流れは非常に素晴らしかったと思います。何はともあれ漫画の中の話ではありますが、博士にまでなった温巳君が研究者としても評価され、更に経済的に安定しそうなことはホッとしました。これで研究者として報われない結末だったら、悲しすぎますよ[3]現実世界では決してあり得ないパターンではないのでしょうけれども。
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