未知(インコグニタ)へ!17世紀。英国公認の海賊船に、博識かつ好奇心旺盛な探検家・ダンピアも乗船した──。未知の世界を食べて調べる、実在の人物と史実をもとにした海洋冒険飯漫画! リングローズの思いはダンピアに伝わるか。
Amazon内容紹介より
『ダンピアのおいしい冒険』の最新巻の感想は以下になります
『ダンピアのおいしい冒険』3巻の初版は2021年7月。17世紀に実在した『ウィリアム・ダンピア』という人物の史実にもとづくお話です。学習漫画のような知識を得られる漫画でありつつも、3巻になると今まではそれほど感じなかった冒険漫画らしさが出てきて、単純にエンタメとして面白い部分が強化された感があります。続きが気になる漫画になってきていますよ。
さて『ダンピアのおいしい冒険』3巻です。3巻では2巻の1巻より過去のお話をもとに1巻以降の時間軸のお話が進んでいきます。漫画自体の基本路線は変わっていませんけれども、お話は3巻にしてすでに盛り上がってきています。『ダンピア』自身の志は別にして、属しているのは海賊船ですので、血なまぐさいお話は避けて通れません[1]『ダンピア』自身もそれほど海賊行為を忌避しているようにも描かれていません。3巻ではなかなか痛そうなお話も登場してきました。お話を読むごとに、『ダンピア』が数々の航海を乗り越えて著作を著しロンドンで最期をむかえることができた、というのは、もちろん『ダンピア』の知識を礎にした力があったからだと思いますけれども、それ以上に幸運であったことが大きいのだろうな、と思えてしまいました。この漫画の舞台である大航海時代に限らず、歴史の中には大きな才能を抱えたまま消えていってしまった人が数しれないだろうことを改めて感じさせられます[2]Wikipediaを読んでしまったので3巻にもたくさん登場する人物が早々に死んでしまったことを知ってしまいました…。航海記録を始めとして、各種生物・植物などの記録をつけていたとしても陸地にたどり着く前に、記録をつけていた本人と共に海の藻屑と消えてしまった、ということもたくさんあったことでしょうね。
ちなみに3巻のラストは『デーヴィス船長』と『スワン船長』とが別の航路を選び『ダンピア』がどちらの船長と共に行くのかを選ぶ、というところで終わっています。続き続き!続きが気になりますよ!『クック船長』亡き後の『デーヴィス船長』はイマイチかっこ良く描かれていないので凡人感がハンパないのですが、3巻ラストにかけて『デーヴィス船長』カッコいいかも…みたいな感じになってきてしまいました。『スワン船長』はそれほど残酷なことをしなさそうだしなあ、とかも思うのですが、4巻での『ダンピア』の選択が楽しみです。また、3巻では『ダンピアのおいしい冒険』の3巻までで出てくる中で一番善人そうに描かれている『リングロース』さんと一度別れ、そして再会するところから始まりますが、3巻を通して最初から最後までほとんどが『ダンピア』と『リングロース』さんの心の交流みたいな感じで描かれています。絵柄も相まってずっと『ダンピア』と『リングロース』さんがキャッキャウフフしてくれても良いのになあ、とか思ってしまいますが、お話の方はそうもいかないようです。3巻の帯にある「一緒に行こう、未知インコグニタへ!」という言葉が登場するエピソードは王道少年漫画にでもありそうな、感動的・情熱的な場面で心揺さぶられました。
ところで1巻から触れていますが『ダンピアのおいしい冒険』3巻にも様々な食べ物が登場します。3巻ではムラサキイガイ[3]漫画内でも書かれていましたが、ムール貝のことです、マミー・アップル、プランテイン、サポジラの実、スターアップル、アボカドナシ[4]一般的な「アボカド」のことだと思いますが、「アボカドナシ」と記載している理由は不明。アボカドの和名は「ワニナシ」と言うそうですが…、クロホエザル[5] … Continue reading、プリックリー・ペアなどが登場して食べられます。相変わらず色々な物が食べられていますが、3巻に登場したのは「クロホエザル」以外は現代の日本国内でも食べられていたり、食べることにそれほど拒否感のなさそうな物ばかりでしたので、単純に食べてみたいなあ、と思うことが多かったです。お話の中では食べられておらずスペイン領ペルー副王『メルチョール・デ・ナバラ』さんが食用を禁じようとする食べ物の一つに『ペピーノ』が挙げられています[6]その他に挙げられていたのはトマト、ジャガイモ、トウモロコシ。これも日本国内では一般的には流通していませんが、美味しそうなので食べてみたいですね。ただ、『プリックリー・ペア』に関しては漫画の中にも実害はないが食べすぎると尿が赤くなると記載されていたのでちょっと恐いです。
そんな訳で『ダンピアのおいしい冒険』3巻は1巻から変わらず知識の窓口としてとても優秀な学習漫画のような側面がありつつも、特に3巻からは冒険漫画としての躍動感が感じさせられはじめました。読んでいてワクワクします[7]ドキドキ成分も多めですが…。4巻での『ダンピア』、『リングロース』さんの選択と冒険の行方はいかに…。かなりオススメです。
『ダンピアのおいしい冒険』の作者である『トマトスープ』氏による連載中の別作品『天幕のジャードゥーガル』の感想文を書きました。
References
↑1 | 『ダンピア』自身もそれほど海賊行為を忌避しているようにも描かれていません |
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↑2 | Wikipediaを読んでしまったので3巻にもたくさん登場する人物が早々に死んでしまったことを知ってしまいました… |
↑3 | 漫画内でも書かれていましたが、ムール貝のことです |
↑4 | 一般的な「アボカド」のことだと思いますが、「アボカドナシ」と記載している理由は不明。アボカドの和名は「ワニナシ」と言うそうですが… |
↑5 | 漫画内では「クロホエザル」という記載はなく「大きな黒毛のサル」とだけ記載されていますが、吠えている描写もあるので「クロホエザル」かな、と… |
↑6 | その他に挙げられていたのはトマト、ジャガイモ、トウモロコシ |
↑7 | ドキドキ成分も多めですが… |
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