姫に転生して、異世界にカチコミ!無法者達がのさばる都市・ダニエミに着いたリュー。そこで出会った元自警団・カルロは、卑劣な連中により恩人を殺されてしまったという。その敵討ちに協力することになったのだが、街を牛耳る者の陰謀に巻き込まれていき…!?異世界本格ヤクザファンタジー!!
Amazon内容紹介より
『任侠転生-異世界のヤクザ姫-』の最新巻の感想は以下になります
『任侠転生-異世界のヤクザ姫-』3巻の初版は2020年11月。タイトルの通り、任侠の世界に生きていた男性が異世界の美少女のお姫様に転生するという、いわゆる転生モノ。よくよく考えると、任侠というのは相手のフィールド関係なく、自分たちのルールを重視する傾向がありそうなので、確かに異世界転生した時に強そう、というよりはダメージが小さそうなイメージがありますね。この漫画でも主人公である『龍松=リュー姫』さんはまったくといっていいほど動揺していません。
さて『任侠転生-異世界のヤクザ姫-』3巻です。3巻ということで、そろそろ『リュー姫』に転生してきた『龍松』さんも、お話の舞台である異世界に慣れてきた頃でしょうか。表紙では『リュー姫』が『ニュイ』さんに和服を羽織らされていましたが『リュー姫』がこの異世界で不自由なく戦いに明け暮れることができているのは、間違いなくこの『ニュイ』さんによるところが大きいでしょう。仲間には、もう一人『ジョバンニ』さんもいらっしゃいますけれども、そちらの方は少しお笑い担当な感じがするので、『リュー姫』の生活の向上にはあまり関与していなさそうです。2巻での『ルンドブルグ』王国の剣王騎士団の皆さんから言われていたことから、『ジョバンニ』さんはなかなかのおべっか使いのようですし、その能力は高そうですけれどもね。ちなみにその際に語られていた内容は「前王の馬番から成り上がり、王宮付になったおべっか騎士」だということ。これが本当なら、なかなかの才能。もしかしたら、その能力を使って『リュー姫』たちの旅の支度などに奔走してくれているのかもしれませんね。ちなみにこの『ジョバンニ』さんについては、1,2巻の感想でもたびたび登場するバスタードの端役として登場する『騎士団長ボン・ジョヴィーナ』さんを連想しました。少し名前の感じも似ていますしね。
また、3巻でも異世界の違法薬物的な『逢魔』によってほぼ非人間化してしまった小ボス的な存在の『エミル・ユンカース』さんを一蹴した『リュー姫』ですが、この無双モードはどの辺りまで続くのでしょうかね。さすがに『魔王様』と直接対決するまで無敵、というような感じではないとは思いますけれども、今のところ負ける要素がなさそうです。ただ、とは言え『エミル・ユンカース』さん、弱すぎでは、とかは思いました。策士タイプであって、直接攻撃が強いタイプではなかったのは理解できますけれども、それにしては策が中途半端すぎました。裁判のような自由評議会の意味、ほとんどなかったのでは…。策士策に溺れる、という内容でもありませんでしたしね。何となく敵役ながら無駄死に感がありました。ちなみに各地の小ボスたちと魔王様との連絡手段はスマホのようですね。2巻から登場していますけれども、みんな持っているようです。異世界のものはさすがに禍々しいビジュアルをしていますが、やはりどこの世界もホウレンソウが大事なよう。3巻では『リュー姫』がそのスマホ的なデバイスを持っていたのにもかかわらず、2巻で魔王様が見せてくれた強烈な遠距離直接攻撃は炸裂せず。さすがに魔王様でも大技すぎて、まだスキルゲージが溜まっていなかったのかもしれません。4巻までには溜まるでしょうか。
ところで1巻、2巻と登場していた難しめ任侠用語は3巻では登場しませんでした。『クンロク』『ヤクネタ』と続いた時には意味がよくわからず少し困惑した部分もありましたけれども、3巻のようにまるで登場しないと、勝手な物言いではありますがちょっと物足りなく感じてしまいます。むしろ3巻では特に任侠仕草のようなものも登場しなかったので、任侠用語のような言葉があった方がバランスが良かったような気がしました。『龍松』さんの任侠成分をしっかりと出して欲しかったなあ、とか思ってしまいましたね。ただ、3巻では異世界に転生してもお風呂・サウナを嗜む『龍松』さんの姿が…。何となくではありますが、自分の中では任侠の方々はサウナが好き、というイメージが出来上がっていたので、このシーンは個人的には任侠成分になっていました。ただ、そのサウナを楽しむために『ニュイ』さんが大変な目にあってしまいましたね。主人公パーティーは『リュー姫』のステータスが図抜けてしまっていますので『ニュイ』さんや3巻ではまさかの一度も登場しなかった『ジョバンニ』さんが完全なる従者役になってしまっている感があります。その中で『ニュイ』さんについては雑用面でかなりの貢献が感じられますけれどもね。
そんな訳で『任侠転生-異世界のヤクザ姫-』3巻は異世界での冒険が馴染んできた感がありました。読者としても、「こういう感じで進んでいくんだなあ」と何となくなアタリがつけられた巻だったように感じます。安定進行とは言えますが、逆にインパクトとしては弱め。1,2巻の衝撃が終わり、どうしても3,4巻は世界構築に安定感が必要な部分になってくるとは思いますが、もう少しパンチが効いていて欲しかった、というのが正直なところです。4巻では少なくともナニソレ的な任侠用語が登場してくれるのを期待したいと思います。
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