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【漫画感想】「惑わない星」 1巻

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惑わない星 1巻
惑わない星 1巻 / 石川 雅之

連載時のカラーを、完全収録! カラフルな色彩と、アニメキャラに彩られた”内”の世界。”内”を維持するために存在する、色のない”外”の世界。”外”で働くS沢と及川のもとに現れた謎の少女達。彼女らの正体は、「惑星」だった–!? 『もやしもん』大団円から2年、石川雅之の描く、前代未聞の惑星擬人化漫画、開幕!!

Amazon内容紹介より

1巻なので仕方のない部分もあるとは思いますが、これはなかなか難しい漫画になりそうですね。もやしもんの中盤以降に感じられた漫画内での作者の存在感が、惑わない星では1巻から前面に押し出されているように感じられてしまって、読んでいて少しツラかったです。作者の主義主張があるのは構わない、というかあるべきだと思うのですが、それをちゃんとキャラクターの主張というように偽装しておいて欲しい気がするのですよね。もやしもんの場合は色々と「ん!?」と思う瞬間があったものの、それが学生の主張のように粗めではあるものの偽装されていたので、耐えられた部分があった気がします。今回はSF設定ですし、人間が今のところ2人しかいないので[1]擬人化している惑星はたくさん登場しますが…、極論とその対論的な極論みたいな感じになってしまう気がするんですよ…。何となく、純粋な人間の登場人物が増える雰囲気もありませんし。もしかしたら、2巻以降にスマートな解決がなされるのかもしれませんけれどもね。

ところで、読み始めた瞬間は「惑星を擬人化とか新しいな…」とか思ったのですが、よくよく考えるとギリシア神話の時代から惑星は擬人化されてきていましたね。人類の歴史の中でもかなり古くから揉まれてきた題材でした。ただ、今のところこの漫画の中では、女性のような見た目の擬人化惑星しか存在していませんね。そのうち、男性のような見た目の擬人化惑星も登場したりするのでしょうか。個人的には、擬人化させずにこの漫画に登場する衛星たちのように、もやしもんの菌共のような存在が良かったなあ、とか思ったりしました[2]そうしたらそうしたで、もやしもんと同じ!とか思ってしまうのは目に見えていますけれどもね…。この漫画の中では、よく喋る月がキャラクターとしては好きですね。

それにしても未来の地球感が90年代っぽいなと思ってしまいました。地球環境が壊滅的な状況下なのに、人工的な生命維持環境がかなり大規模に作れていて、核融合も確立されていたりもするのにもかかわらず、引きこもりプレイをしている理由がよくわかりませんでした。技術的にはもっと積極的に地球外に飛び出して行けるでしょうし、少なくとも国単位で孤立している理由が特になさそうなのですけれどもね。そして、その地球環境をつくり出してしまった『夏休みの終わり』ですが、1巻の段階で語られる程度のことで、ここまで壊滅的なことになるのかな、とかは思いました。どのようなゴミを棄てようとしたのかはわかりませんけれども。もしかしたら現代人類にとっては未知の恐ろしいゴミなのかもしれませんが…。

そう言えば、作者はもやしもんに登場していた及川さんが好きだったのですかね。作品またぎで登場するとは思いませんでした。この漫画だと『及川8月』という表記にはなっていますが…。その名前や主人公の『S沢』の名前の表記になった理由はなかなか面白かったですね。個人的には主人公のS沢には結構期待してしまいます。女性キャラクターに囲まれた見た目オッサンのキャラがどう振る舞っていくか、とか何を期待されているのか、というところにはかなり興味がわきました。今のところはネガティブキャラという印象しかありませんけれども。ところでS沢をどうしても脳内で「サワキ」と読んでしまうのは私だけですかね…。

どちらかと言うと否定的なことを多く書いてしまいましたが、もやしもんも何だかんだで好きな漫画でしたし、純潔のマリアは面白かったので、今作も期待はしてしまいますね。まだまだ1巻なので今後ガラリと印象が変わることもあるかもしれませんし…。とりあえずは2,3巻くらいまではちゃんと買って様子見をしようと思います。

References

References
1 擬人化している惑星はたくさん登場しますが…
2 そうしたらそうしたで、もやしもんと同じ!とか思ってしまうのは目に見えていますけれどもね…

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