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【漫画感想】「ゴールデンカムイ」 8巻

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ゴールデンカムイ 8巻
ゴールデンカムイ 8巻 / 野田 サトル

「金塊」を隠した張本人にして、アシリパの父親だと言われる男。今尚、網走監獄に収監されている「のっぺらぼう」。全ての謎が帰結するその正体は何者なのか? 土方歳三の仮説が明らかに…!! そして、長い冬の眠りから北の大地が目を覚ます。生命溢れる春の野生の食材は? 阿仁マタギ・谷垣に転機が訪れる谷垣編、刺青人皮争奪戦に一石投じる夕張炭鉱編も収録。「野望」「復讐」「希望」生き残るのは誰だッ! 熾烈に必死!! 感情蠱毒な第8巻ッ!!!!!!!!

Amazon内容紹介より

もう8巻ですか。本当に凄い勢いですね。この勢いはもう暴走列車のよう、と形容しても差し支えがないと思いますが、同時にこれだけ暴走したような勢いがありつつも、そのバランスは計算し尽くされたかのように保たれている、というところが驚異的だと思います。まあ、もしかしたら自転車みたいなもので、ある程度の勢いがあるからバランスが保たれいてる、というような部分もあるのかもしれませんけれども。

ちなみに8巻の表紙は尾形さんでした。7巻のキロランケさんほどではありませんが、こちらもなかなかのイケメンさんですね。ただ、戦闘力も高めで頭も切れマスクもなかなか…でも、どれもトップではない、というところに尾形さんの今後のツラさがありそうです。

さて、8巻のアイヌグルメはアイヌで「ウクリペ」と呼ばれている「カワヤツメ」のうな重でした。とても美味しそうです。もう5年くらいは鰻断ちをしているので、物凄く食べたくなりました。ただ、Wikipediaでヤツメウナギの項を読んでみると、こちらも鰻の代わりとして食べるのはなかなか難しそうですね…。悲しい話です。それにしても杉元さん、アシリパさん、白石さん、キロランケさんの4人で川に入ってカワヤツメを獲っているコマはとても幸せそうな雰囲気に満ち満ちた1コマでした。血みどろの争いをしている最中とは思えません。

最近は漁獲量が減り、大きさも一般に小さくなって来ている。現在でも産地以外では鮮魚としてカワヤツメを得ることはほとんど不可能で、乾物か冷凍品ということになる。

ヤツメウナギの項 - Wikipediaより

また、アイヌで「プクサ」と呼ばれる「ギョウジャニンニク」と「コロコニ」と呼ばれる「フキ」、「マカヨ」と呼ばれる「フキノトウ」を採っているシーンもあり、ゴールデンカムイの世界にも春がやってきた喜びみたいなものが溢れている、とても素敵なコマもありましたね。前後での変態乱舞との落差がハンパなくて、同じ漫画とは思えませんが、そのメリハリもゴールデンカムイの魅力の1つと言えるかもしれません。

そんな訳で8巻には、そういった落差を生み出す新たな超絶変態・江戸貝さんが登場しました。他の変態さんたちと同様に早々に退場してしまいましたが、今回の変態さんも物凄かったです。毎回方向の違った変態性を見せ付けられるので、作者である野田サトル氏にはどれだけ変態の引き出しがたくさんあるのか、と思ってしまいました。江戸貝さんの単独ファッションショーのシーンでは、もうその変態性にただただ拍手を送るしかありませんでしたね。そして、その江戸貝さんを軽く掌の上で踊らせてしまう鶴見中尉の凄さも必見です。ちなみに鶴見中尉の耳を狙う二階堂浩平さんの壊れっぷりはちょっとありそうで、静かに恐怖を感じました。段々とエスカレートしていくのでしょうかね…。とりあえず、江戸貝さんの飼い猫には、今後は一般的な環境で平穏な日々を過ごしてもらいたいものです。

ところでAmazon内容紹介にあった「感情蠱毒」という字を読めないな、と思って調べたらコドクなのですね。なるほど。意味は以下の通りだそうです。

動物を使った呪術の一種である。代表的な術式として『医学綱目』巻25の記載では「ヘビ、ムカデ、ゲジ、カエルなどの百虫を同じ容器で飼育し、互いに共食いさせ、勝ち残ったものが神霊となるためこれを祀る。この毒を採取して飲食物に混ぜ、人に害を加えたり、思い通りに福を得たり、富貴を図ったりする。人がこの毒に当たると、症状はさまざまであるが、「一定期間のうちにその人は大抵死ぬ。」と記載されている。

蠱毒の項 - Wikipediaより

読み方はわかりませんでしたが、この内容は何だか聞いたことがありました。ということは、様々な感情を戦わせて残った感情が発現する、みたいなことなのでしょうかね。個人的にはゴールデンカムイを読んでいて、最後に残る感情は「笑い」でしょうか。色々とありますが、やはり最終的には笑ってしまいます。いや、笑うしかない、とも言えるかもしれません。凄すぎて、笑うしかない感じですね。

そういえば、7巻では美人枠に入れていたインカラマツさんでしたが、8巻で再登場したものの、美人と言えなくもないのですが、少しキツネに寄ってしまった感がありました。7巻だともう少し美人さんではなかったでしょうかね。やはり、美人さんに見えたのは幻術で、少しずつキツネ色が強くなっていくのでしょうか。何となく残念です。ちなみに自分が好きなキャラクターは、ハートフル・勃起おじさんの谷垣さんなのですが、8巻でも相変わらずチカパシ[1]アイヌ語で「陰茎を立てる」君とのハートフルなやりとりをしていて最高でした。

さてさて、そんな訳でゴールデンカムイ8巻もやはり面白かったですね。間違いないです。9巻は2016年冬予定なので、4ヶ月後の12月でしょうか。今から楽しみです。楽しみと言えば、帯にあった渋谷での作中の狩猟グルメを再現したという「ゴールデンカムイ軒」も気になるところです。これはちょっと応募してみようかな、とか思っています。きっと希望者多いでしょうから、抽選漏れするでしょうけれどもね。

References

References
1 アイヌ語で「陰茎を立てる」

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