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【漫画感想】「シオリエクスペリエンス」 8巻

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【漫画感想】「シオリエクスペリエンス」 8巻
シオリエクスペリエンス 8巻 / 長田 悠幸, 町田 一八

「エゴイストになれ」…。伝説たりえる英雄の条件だと世界一のギタリストは言う。現実を受け入れ切り捨てるか、理想を追い求め受け入れるか。紫織が従った“魂の叫び”、その結末とは──…。

Amazon内容紹介より

長かった長かったトンネルをやっと抜けそうな雰囲気がしてきました「シオリエクスペリエンス」の8巻です。7巻までは胃がキリキリと痛むような、絶望感を抱えたままの創作作業や練習の繰り返しで、読んでいてもキツいことが多かったのですが、8巻になって光が見えてきました。7巻で切る捨てることもやむなし、という結論になりつつあったサックスメンバーである井鈴さんもすばる先生による、まさに鬼のシゴキに耐えて大きな成長を遂げたようです。いやあ、長いトンネルでした。

さて「シオリエクスペリエンス」8巻は主にバンドのサックスメンバーである井鈴さんがバンドに相応しい自分になるためにと、バンドを離れて練習に明け暮れます。またそれに伴って、光岡さんとすばる先生の株が急上昇する巻でした。特にすばる先生は変顔をキメつつ、恐い関西弁を撒き散らしながらも、音楽には妥協しない姿勢が大迫力でしたね。個人的にはあの指導方法には疑問を感じざるを得ませんが、現実世界でも取り入れている方が決して少なくなさそうですし、それなりに支持されている方法ではあるのでしょう。自分では絶対に受けたくない指導ですけれどもね。また完璧、と思えていた光岡さんが井鈴さんと関わることで、歯車が狂いだしているようでしたが、彼女にとっての成長の前段階であるといいなあ、とか思いました。

それにしても本田先生が7巻のラストで言っていた「皆さんに…お話ししなければならないことがあります」というのは、井鈴さんのお母さんから退部届を書いている、と伝えられていたことだったのでしょうかね。他にあのタイミングで話す内容はないと思いますけれども、本田先生としては、井鈴さんが辞めることを覚悟していて受け入れていた、ということなのかもしれません。ifではありますが、井鈴さんが戻ってくることができなかったバンド、というのも興味がありますね。現実世界のバンドでも、色々な理由で脱落してしまうメンバーは少なくないと聞きますし、高校生のバンドメンバーがそういったギリギリのところをどうやって選択していくのか、というのも少し見てみたい気はしました。その内容を読んだらきっとツラくて大変なことになったと思いますけれども…。

ところで8巻では「The 27 Club」の面々も裏で暗躍しているらしい音楽業界のマフィアのボスみたいな人も登場しませんでしたね。本田先生のお兄ちゃんも登場しませんでしたし。バンド内部の問題が解決しつつあるので9巻ではそちら側も再び動き出すのかもしれません。ただその前に1回、オーディエンスの前で気持ちの良いセッションをして欲しいなあ、と思います。まだカタルシスには至っていないと思いますので。まだカタルシスには至っていないとは思いますが、井鈴さんが再合流してからの初セッションシーンは鳥肌モノでしたね。爆音サックスからメンバーに放電していって爆発してからの「私のすべて―」は完璧な流れだったのではないでしょうか。最高に気持ち良かったです。オーディエンス前でのセッションであれば、8巻を更に突き抜けたシーンが展開されることでしょうから、どんな表現を見せてくれるのか、今から楽しみで仕方がありません。

ちなみに8巻の裏表紙のシルエットが最初誰だかわかりませんでした。「こんなチビ太みたいな登場人物いたっけ…」と本気で考え込んでしまいましたよ。隣のシルエット結び付けてようやくわかりました。そういえば、8巻でも登場しましたね。本当に少しだけでしたが。

そんな訳で「シオリエクスペリエンス」8巻は長かったトンネルの向こうにある光が見えてきた巻になりました。ようやく漫画を包み込んでいた重苦しい空気が取れ始めて後は解放を待つのみ、という雰囲気があります。ここで次巻辺りに転調されたら、発狂しそうな気がします。素直に気持ち良くさせてくれるのか、意地悪な展開になるのか、9巻も今から楽しみです。

(追記 2017-03-31)
ソニーのノイズキャンセリングヘッドホンとシオリエクスペリエンスのコラボで1巻後半のストーリーが音声付き漫画になっていました。漫画内の音が現実の音として表現されているところに感動しつつも、漫画の音を読むことに影響が出てしまうのでは、と若干の怖さは感じます。ただ、単純にシオリエクスペリエンスのカッコ良さを再認識できるので既読の方も未読の方もぜひ読んでみて欲しいな、と思います。ヘッドホンもちょうど探していたところなのですが、これは欲しくなりますね…。
(再追記 2021-11-25)
公式サイトが消失していたのでリンクは外しました。仕方のないことなのかもしれませんが、もう少し公式サイトは保全しておいて欲しいですね。

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